岡山は、すっかり春めいてきました。
朝晩はまだ冷え込みますが、日中は春の日差しを充分感受できるように
なっています。
冷えた水がめの氷が、陽光で割れコーヒーゼリーみたいに浮いているさまが
個人的にはとても好きな、大角設計の一コマです。
早春というのは、そういった「溶け合う」風情が
とても美しい季節だなと感じています。
春の訪れのまえにいつも事務所で行われるのが
「芝焼き」です。
病気・虫の予防や新芽を出すために、覆いかぶさった古く枯れた箇所を
焼き払います。
田舎育ちの私は、こういったのんびり溶け行く時間が、性に合っています。
パチパチと小さな音と共に、モクモクと音無き煙が上がり
しゃっ、っっしゃ、と火の粉を払う竹ぼうきの音が響く。
全てが、計算もせず、当たり前に、偶然を重ねながら、溶け合う風景。
綺麗に焼き払われ、ススの入った芝庭に延びるモミジの枝ぶり。
その影の重なりが、美しい阿弥陀模様をつくります。
自然は、完璧に溶け合いますが、
それぞれの要素ごとに美しい。
「溶け合っているようで、自立した美が内包されているんですね。」
「自然の中に溶け込む」なんてことは、よく言われるデザインの常套句ですが、
ほんとうに自然をあるがままにつぶさに眺めると、
「重なりながら、溶け合いながらも」
驚くほど、自立した美しさが存在します。
そんな日常の一コマに、大角設計室のデザインは
ヒントを得て生活を過ごしています。
ゆあさ