おおきめな現場です。
だけれど、おおきな現場になっても
やっぱり人間がコツコツつくっているんですね。
昔に比べれば、重機の使用や材料、流通の変化によって
簡略化されたり、工期の短縮等が行われているのでしょうが
大変さそのものはかわっていないのではないでしょうか。
大角設計室の仕事の多くはまだまだ
大工さんや左官さん、基礎屋さん、建具屋さん、瓦屋さん
電気屋さん、水道屋さん、サッシ屋さん、造園屋さん等
「手仕事」の領域がのこされた現場がほとんどです。
だれかがこの家の土地を整地して
その整地をするための土を誰かが準備して
その家の基礎の為に土を再び掘って、鉄筋を並べて・・・
時間は確かにかかるのですが、
そのすべてに、目立たないけれども素晴らしい「手の跡」があります。
民家は、そういった「手の跡」の集積でできています。
設計者はこの「手の跡」を純度の高い結晶にできるかで
職人の仕事を後世に伝えていけるかがきまる職責を担っています。
「手でつくる」という行為を施工者任せにするのでは
いいものはできません。
なるべく設計者の掌の中にも「ものづくり」の行為を
確保する大切さを痛感しています。
施工者は決して、手は抜いていませんが
時代と共にやはり「簡略化・合理化」へ向かわざるをえません。
だんだん「手仕事」が家づくりから離れていってしまいます。
職人の普段通りのやりかたをもう一度、共に見つめ
ものづくりの現場に「手でつくる」「合理性を超えた感覚」を
引き戻せる、そんな説得力のあるデザインをしていければいいなと思っています。
ゆあさ