大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

雑誌掲載(タウン情報広島)

 

この顔にピンとくる方。

なかなかに大角設計室マニアです。

 

そうです。この度『タウン情報ひろしま4月号』に

大角雄三設計室が掲載されております!

 

表紙は特別verなので、本屋さんに行ってもこの表紙ではないんですが、

私達的には、表紙に顔が載る一般紙なんて早々ないので、いい記念になりました。

 

本当の一般の方向けの表紙はこちら↑

是非、書店で手に取って見てください。

 

 

 

掲載されているのは僅か見開き掲載2ページですが、

大角設計室の設計スタンスの分かりやすい紹介文を書いていただいてます。

 

普段は「建築専門誌」ばかりに掲載されているので

こうした「一般大衆誌」に掲載いただき、大変光栄です。

 

「建築に興味を持ったことのない」ふつうの人々に、

分かりやすく、ふんわりと読める内容となっております。

 

これを読んで「建築(建てること、住むこと、見ること)」を

好きになってもらったり

「大角設計室のファン」になってもらえたらなと思っています。

 

 

最後に、大角設計室の最近の日常をご紹介。

 

春の日差しによって、土間がやわらかく、

少しづつ温もりを感じるようになってきました。

 

 

この春の訪れはじまりの季節だけ、大角設計室の駐車場は白い花で彩られます。

 

白い立木のコブシの羽めく花。

そよそよ春風にゆれる雪柳のちいさな白い花。

隣地の畑のスイセンや、奥の土手に咲く桜などを眺めていると

人が心を動かされる瞬間は「ゆったりとした時間」を「感じる」なにかの

キッカケが大切なんだろうなと、毎日ぼんやりとした日々の中で感じています。

 

「感じる」ための「キッカケ」がすなわち

「設計やデザイン」なのだと思います。

 

 

 

そうして、大角事務所の日常をつぶさに眺めてみると

春一番で咲き誇った椿がポタリと土間に落ちてなお美しかったり。

 

 

 

これから待ちわびた春を楽しまんと

蕾が開き始めたツツジの花の新鮮な紫色。

 

 

 

漆喰壁に延びる影も、冬に比べ

やや力強く白壁を焦がしつつあります。

 

 

そんな感じで大角設計室は「時間」を「住まい」に内包したいと考えています。

 

 

「今」しか出来ないコトもあるし

「過ごした生活が美しい」と振り返ることが出来るような、

そんなゆったりとしたタイムスパンの建築を考えています。

 

 

 

大切なことなのでもういちど書きますが、

 

「今」しか月刊誌なので見えませんよ!

可能な方は、書店でパらりと覗いてみてください。

 

宜しくお願いします。

 

 

 

ゆあさ

新聞掲載

 

突然新聞社から、大角事務所あてに電話があって

「明日記事が掲載されます」とのこと・・・。

 

 

晴天の霹靂でしたが、中国電力が主催した住宅作品コンテストで

受賞した記事が載るとのことでした。

 

 

どんな感じかな~と思いながら、翌日の朝刊(2023/03/17)をぱらぱら。

 

 

 

いやいや、結構なボリュームで載っているじゃない!

びっくりしました。

 

山陽新聞」は岡山県内では一番おおくの方に読まれている新聞なので

大変反響がありました。

掲載いただき感謝感謝です。

 

『田舎にポツンと設計事務所』のもとに、

田舎のご近所さんから「見たよ!おめでとう!」と

散歩がてらお声がけをいただき大変励みになりました。

 

 

中国電力のコンテストなので、

「エネルギーを美しく使い切る」提案をしたことについて評価いただきました。

 

 

ご覧ください!

これが、住宅作品コンテスト最優秀賞の設計者の姿です!!

 

事務所前庭のドングリの木を切り倒した後に

シイタケのほだ木にしようとしています!!

 

 

 

何度もいいますが、

これが、住宅作品コンテスト最優秀賞の設計者の姿です!!

 

チェーンソーでブルブルバルバルやっております!

 

 

エネルギーを使い切る姿勢は、田舎暮らしにヒントがいっぱいです。

 

そんな田舎から素直に学んだエネルギーを

設計にこれからも活かしていけたならと思っています。

 

 

 

大角雄三設計室

 

 

 

蝋梅に狼狽

庭仕事の記事が続きます。

 

蝋梅という花をご存じですか

ろうばいと読むのですが、字のとおり蜜蝋みたいにマットで黄色い花を付ける木です。



近所の方から頂いたので庭に埋めてみました。

 

もうちょい倒して~

もっともっと~

 

結果にょっきり斜面から生えた感じに

ゆあさ先輩お疲れ様です!

 

 

朝、そんなひと仕事を終えて、私は現場へ。

o-sumi.hatenablog.com

過去の記事は上記から↑

 

足場がかかって全貌は隠されてしまいましたが

工事は着々と進んでいます。

 

ケラバの部分は土がで覆ってあったものを落として、ラス地を巻いて、

漆喰を塗って”シャキッ”としました。

 

うだつも図面通り、いい感じです。

仕上がりが楽しみです。

 

 

そして帰ってくるとさっきの蝋梅の位置が変わっていました。

大角曰く「なんかちゃうなぁと思って」

まさに蝋梅に狼狽…

 

言いたかっただけです。

 

うえにし

受賞報告(ゴールデンドロップのあかり)

昨年末、応募していた中国電力広島県本社)の

「エネルギア住宅作品コンテスト」において新築部門最優秀賞をいただきました。

住まい手、施工者、写真家の方々等、このプロジェクトに関わっていただいたすべての方のお陰です。

受賞報告をもって、御礼申し上げます。

 

 

応募したのは「倉敷の町家」です。

 

 

 

このコンテストは毎年募集テーマが変わり

今年のテーマは「自然素材を活かしたサステナブルな住まい」でした。

私がこのテーマの中で大切だなと感じたことは

「自然素材を『活かした』というこの「イ・カ・シ・タ」という4文字です。

 

 

最近流行のSDGs要素である、まさにサステナブルがテーマに選ばれている訳ですが、

大雑把にいうと「人や地球にやさしい」=「自然素材」となるわけですが、

さきほどの

「自然素材を『活かした』というこの「イ・カ・シ・タ」という4文字が入るだけで

審査員の方が募集作品に何を求めているのか意味合いが変わります。

 

「自然素材を『使用した』ではないんですね。

「自然素材を『活かした』かどうかが問われています。

 

 

 

私達が提案したことは大きく2つあります。

 

 

1つ目は「自然素材を活かしたデザインの先例から学ぶ」という事です。

2つ目は「エネルギーを適切に無駄なく『美しくつかいきる』」ということです。

 

 

 

1つ目の「自然素材を活かしたデザインの先例」とは

私の生まれ育った町「倉敷」に数多くのこされた『民家』のデザインです。

 

「瓦・厚ぼったいシックイ・土壁。格子。障子。欄間。

縁側。中庭。庇。路地。門。土間。」などなどそういった、

適材適所に配された自然素材の形をそのままつかうだけではなくて、

現代生きる設計事務所が「プラスアルファのデザイン」をささやかでも

真剣に考え、加えていくことが大切だと思っています。

 

 

この住宅では奇をてらったアイデアではなく、

ベーシックなデザインをコツコツと「徹底的にRe・デザイン」することを

目指しています。

そういったことが、地方でデザインを創る、設計事務所の役割ではないかと思います。

 

 

2つ目の「エネルギーを適切に無駄なく『美しくつかいきる』」ということについて。

今回電力会社のコンテストなので

大角設計室なりの「エネルギーについての考え方」を世の中と共有したいなと思い、

提案をしています。

 

どんな提案になるかといいますと

「省エネ」という概念は広く一般的に知れ渡るようになりましたが、

何か大切な視点が「省エネ」だけでは抜け落ちているのではないかと

ずっと感じていました。

 

「省エネ」はもちろん大切です。

でも、「省エネ」の最初の思想とは裏腹に、

現代の流行している「省エネ」は少し違う方向に

すすんでいるのではないかと思います。

 

 

一般的な省エネは「エネルギー使用量や電気代、光熱費」といった「数字」で

簡単に換算することが出来ます。

その数字がでも全てでしょうか。

 

昔の生活にあった、「かまどの火」や「ロウソク・ランプのあかり」は

もっと切実で省エネルギーであったにも関わらず、とても「美しい」ものだったと

思います。

 

もうすこし、そういった時代の「エネルギーを使う喜び・楽しみ」を

設計事務所は住まいのなかにデザインしていくことが大切じゃないかと思います。

 

 

今回、提案住宅の名前「倉敷の町家」にサブタイトルを付けて

『ゴールデンドロップのあかり』としています。

 

ゴールデンドロップとは、紅茶の飲み方(注ぎ方)に対する名称です。

ティーポットから注がれる紅茶の抽出しきった、最後の一滴を指します。

その最後の一滴には、紅茶の栄養・香り・味わいが最も豊かなものが含まれます。

 

 

 

 

 

翻って、建築はどうでしょうか。

余すことなく、エネルギーの魅力を建築というフィルターが

美味しく抽出しているでしょうか。

 

その抽出の先の先に、ほんの一滴の微量なエネルギーだけども

本当に豊かに感じられる

デザインとなっているでしょうか。

 

 

 

 

暗闇に浮かぶ竜骨のようなうねる梁丸太。

 

木材にも多くの人のかかわりと技術、財産、知恵、そして地球のエネルギーが

関わっています。

 

そうしたものも最後まで美しくデザインする責任が

地方の設計者にはあるように感じている毎日です。

 

 

 

ゆあさ

 

 

 

事務所のにわづくり

もう春ですね。

 

春になる少し前、少し肌寒い時期

事務所の庭に石を埋めました。

 

苔を貼ってみたり

ヤマシダを植えてみたり

いろいろしてみたものの、

日当たりが良すぎてなかなかうまくいかなかった小山があったのですが…

 

もう石を据えちゃえ!

 

ということで

植栽をあきらめ、コペルニクス的転回を見せたわけです。

 

 

事の始まりは庭師さんからの「いい石あるんじゃけど」の一報から

 

そしてある朝

巨大な石が転がり込んできました。

 

すんごい面白い形です

恐竜の大腿骨のようなくびれ

 

こんな石大角設計じゃないと持て余しちゃうね。

 

事実、庭師さんは石屋さんで前から目を付けていたそうで

ずーっと売れ残っていたそうです。

石を転がしながら

一番いい位置を模索していきます。

 

ここの皮がええなー

このアゴは隠すかなー

ここまで埋めよかなー

 

こういう時間が一番楽しいのですが

決まった位置では全然穴の深さが足りなかったんですね

 

そうと決まれば事務所総出で穴掘り大会です。

大角も参戦!

半分農家の本領発揮!さすがです

 

ガンガン掘り進めていきます。

 

そして吊りこみ

ウイーン

 

おや…?

 

鋭い方はお気づきになるかもしれません…

 

調子に乗って掘りすぎたようです。

まさに墓穴を掘ってしまいました…

 

ちょっと埋め戻して再挑戦

今度はいい感じ

 

よっしゃ埋めろーーー!!

こんなもんは人海戦術がものを言います。

 

明日の筋肉痛もなんのその

突き固めて石が倒れてこないように

せっせと突いて埋めてを繰り返します。

 

苔を貼ってみると抜群な馴染み具合で

ずーっと前からそこにあったように

当たり前に佇んでいます。

一人で大きくなった顔しやがって…

というかすかな母性が生まれました。

 

うえにし

既存建物との関係性

 

古い建物の間に門をデザインしています。

 

門が建つだけで、ハッキリと

敷地のパブリックな部分とプライベートな部分が明確になりました。

 

そうすると不思議と、視線を区切られて視野が狭くなるにも関わらず、

中庭は心理的バリアがなくなり、広く感じます。

人間って、物理的なデザインを超えたところに面白さがあります。

 

 

門の屋根にも少し工夫があります。

 

素材が銅板をセレクトしています。

一般の方はあまり建築に使われる鉄板素材について詳しくないと思いますが、

「銅」というのは、建材のなかでも「やわらかい」部類に入ります。

 

その素材特性を利用したデザインが日本には古くからありまして

「ムクリ」と呼ばれる屋根面をフラットではなく、曲線に曲げる技術です。

 

このデザインのいいところは、

「印象がふんわりと角のない優しい感じ」になるところです。

 

そんな心理的視覚効果をつかって、門として「セキュリティー」的役割は

ハッキリさせながらも、一方でお客さんを迎える「おもてなし」的雰囲気も

大事に両立させたデザインを実現しています。

 

そのほかにもこの門には工夫が色々あるのですが、

それはまた別の機会にブログ記事にかければと思います。

 

 

門は「区切る」と「つなぐ」両義的な意味を持ちます。

 

建物と建物の間に配置される場合は

それら既存建物とのデザイン調和や動線の整理もおこなうので

面白くも難しく、設計者の力量が試されるケースが多いです。

 

今回は、写真では分かりずらいですが、

この門が出来ることで、敷地建物全体のシマリがぐっと良くなりました。

高さや意匠が良くバランスしています。

 

 

住まい手より、門脇のアプローチの途中に、

「すこし遊びの空間を何か考えて」とリクエストされたので

昔から日本にある民家や寺社仏閣の塀デザインを土間にアレンジしました。

 

この瓦はもともとこの家を解体した時に出たものを再利用しています。

 

既存建物と「時間軸」や「歴史性などのストーリー」を

重ねてデザインすることも、再生工事の楽しみです。

 

 

 

 

 

ゆあさ

Kind of Black

岡山は、すっかり春めいてきました。

 

朝晩はまだ冷え込みますが、日中は春の日差しを充分感受できるように

なっています。

 

冷えた水がめの氷が、陽光で割れコーヒーゼリーみたいに浮いているさまが

個人的にはとても好きな、大角設計の一コマです。

 

 

早春というのは、そういった「溶け合う」風情が

とても美しい季節だなと感じています。

 

 

 

 

春の訪れのまえにいつも事務所で行われるのが

 

芝焼き」です。

 

 

病気・虫の予防や新芽を出すために、覆いかぶさった古く枯れた箇所を

焼き払います。

 

 

 

 

田舎育ちの私は、こういったのんびり溶け行く時間が、性に合っています。

 

パチパチと小さな音と共に、モクモクと音無き煙が上がり

しゃっ、っっしゃ、と火の粉を払う竹ぼうきの音が響く。

 

全てが、計算もせず、当たり前に、偶然を重ねながら、溶け合う風景。

 

 

 

綺麗に焼き払われ、ススの入った芝庭に延びるモミジの枝ぶり。

その影の重なりが、美しい阿弥陀模様をつくります。

 

自然は、完璧に溶け合いますが、

それぞれの要素ごとに美しい。

 

「溶け合っているようで、自立した美が内包されているんですね。」

 

 

 

 

「自然の中に溶け込む」なんてことは、よく言われるデザインの常套句ですが、

 

ほんとうに自然をあるがままにつぶさに眺めると、

「重なりながら、溶け合いながらも」

驚くほど、自立した美しさが存在します。

 

 

そんな日常の一コマに、大角設計室のデザインは

ヒントを得て生活を過ごしています。

 

 

 

 

ゆあさ