大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

プレカットの厳密性に宿す手加工の面影

前回からちょっと時間が空いてしまいました。

↓こちらの続きを書いていきます。

o-sumi.hatenablog.com

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さて前回の最後に少し予告をしたのですが

「プレカット」についてお話していこうかと思います。

 

今回の保育園の工事で私としては初めてプレカットを担当したのですが、
いつもの大工さんとの打ち合わせとはまた違ったとことん厳密な寸法共有の連続でした。

 

大角設計室では基本的に大工さんの手刻みで加工をしてもらうことが多いです。

ということは設計者はもちろん大工さんも双方が考えながら材料を加工していきます。
そうすると設計者の意図だけでなく施行者の意図や経験がマシマシにされ、

ダブルチェックされるといいますか、建物の”強度”が高まるような感覚になります。

 

この”強度”とは構造的な強さだけではなくカッコよさといいますか

建築家が言う”建築的な強度”という摩訶不思議な概念を指しているのですが

この辺は口頭でお伝えするのは難しい所です。

 

さて、ではプレカットはと言いますと、

加工するのは機械であり、打合せはプレカットの加工図を書かれているいわば”設計者”どうしの打ち合わせになります。

設計者同士ですので共通言語も多く話としてはとてもスムーズで新鮮でした。

一方で、話が共有できるもの同士のエコーチェンバーが起きてはならないとも思います。

大工さんとの打ち合わせでは考える人と手を動かす人で見てる方向が違うからこそ大変であり、強度も上がる気がするからです。

 

そこで大事になるのは実物のモックアップをつくり、完成を共有することだと思います。

大角や湯浅と一緒に屋根の隅のややこしい所のモックアップで納まりを検討しました。

 

ここでの検討は柱が8角形なのですが、梁や隅木など5方向から取りつきます。

垂木の納まり、

梁の寸法や大引きとの取り合い、

天井の下に隅木が覗かないように、など

 

大工さんなら加工できるがプレカットでは加工できないこと

ではどうすればきれいになるのか、

 

手を動かす視点でこちらも再検討していくことでクオリティを上げていきます。

そんなこんなで完成したおさまりが下記の写真です。

何気なく普通に納まっているように見えていたら何よりです。

 

そのような検討を無数に行いながら図面をチェックしていきます。

寸法はもちろん梁の継手位置や仕口の形状、柱の化粧の方向

柱の面取寸法やシャープにするために垂木先をナナメに落としたり、

 

平面の梁伏せと文字情報で完成の空間をイメージする作業の繰り返しです。

機械はどこまでも厳密で「いい感じに」が通用しないというのは自分の感覚部分を再確認するという点でも面白い経験でした。

 

そして機械でできない部分を手作業で加工してもらうなどとってもご苦労をおかけしましたが建物が立上り、とてもよい空間になってきました。

そんなちいさな工夫のスナップ写真を少し

登り梁の軒先の角度や母屋の少しの堀込み

軒先の垂木をナナメにカット

柱を大きく面取りし、鴨居や梁に面落ちで納める

柱と梁の芯をずらし、左右で構造材の勝ち負けを入れ替える

 

このような感じで、厳密な寸法の共有に手加工の面影を混ぜていく過程は

設計者としては楽しい限りです。

 

うえにし

岡山の外へ出るということ

(廣榮堂中納言の二階を視察)

 

今進めているプロジェクトの視察のために

県外からワンチームとなるべく依頼主と工務店の方が岡山に来たいただき

私達の仕事で大切にしている点や、

反対に作り手や依頼主がどのようなことに興味を持っているのかなどの

有意義な意見交換をすることが出来ました。

 

 

 

県外の仕事は楽しいですか?

そう聞かれることがあります。

もちろん移動は増えますし、
打合せの調整も簡単ではありません。

でも私は県外の仕事が好きです。

なぜだろう。

少し考えてみました。

 

 

(ちょうど事務所の紫陽花が綺麗だったので)

 

 

 

建築は、その土地に建てるものです。

同じ図面でも
場所が変われば見える景色が変わります。

吹く風も違うし、
降る雨も違うし、
人の暮らし方も違います。

だから設計をしていると

「岡山ではこうだった」

という経験が、そのまま通用しないことがあります。

それが面白い。

 

 

 

設計者という仕事は
答えを持っていく仕事ではなくて、

その土地にある答えを
一緒に探していく仕事なのかもしれません。

 

 

 

県外の仕事では
はじめて会う職人さんや施工者さんと
チームを組むことがあります。

材料の扱い方も、
仕事の進め方も、
地域ごとに少しずつ違います。

最初は戸惑うこともありますが、
気づけばこちらが教わることの方が多かったりします。

 

僕が個人的に各地方で気を付けていることは

なるべくその土地土地の里言葉(方言)を交えて話すという事です。

日本は狭いようでとっても広くて、

各風土で共有されている同じ言葉でも、空気感が違います。

「言語化できないモノ」それが本質だと思っています。

 

 

建築をつくっているつもりが、
いつの間にか自分自身が育てられている。

そんな感覚があります。

そして何より嬉しいのは、

完成した建物が
その土地の日常に溶け込んでいく姿を見ることです。

 

(一緒にご飯を食べながら楽しい時間)

 

 

 

私たちは建物を設計していますが、

本当に創りたいのは
そこで過ごす時間なのだと思います。

朝の光だったり、

家族の笑い声だったり、

季節の移ろいだったり。

そうした何気ない風景が
建物の中で育っていく。

それは岡山でも県外でも変わりません。

けれど県外の仕事は、

その土地ごとの価値観や文化に触れながら
建築の可能性を改めて教えてくれます。

知らない場所へ行くことは、
知らない建築に出会うこと。

そして、

まだ知らない自分の設計にも出会うことなのかもしれません。

これからも地域の枠にとらわれず、

その土地らしさを大切にしながら
ひとつひとつ丁寧に建築を考えていきたいと思います。

 

 

 

 

ゆあさ

 

 

 

-------------

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設計者が現場に立つ理由

設計者は図面を「描くだけ」、のようなイメージを持たれますが、それだけではなかなか良い建物にはなりません。

 

設計者には「もう一つの大切な役割」が工事現場においてあります。

 

その役割とは「現場に立つ」という事です。

現場の専門用語で言うと「現場監理」ですね。

 

なぜ大切なのかお分かりになりますか?

その理由は「設計図面は全てを描いている訳ではない」という事です。ええ!図面って手抜きで描いているの?って思われるかもしれませんが、決してそんなもことはモチロンないのでご安心を笑

 

図面は一般的に、本の大きさ(A4、A3、A2サイズ等)に縮小して印刷され、それを各職方が読み込みモノを作っていきます。建築というのは通常巨大なものですから、一般図面というのものの縮尺サイズは1:200~大きくても1:30くらいで表現されていることが多いと思います。つまりもともと1:1サイズで図面を描くことが物理的に不可能な作業であるため、ある程度、省略ないしは抽象化されたものが「図面」の正体なんですね。ある意味で、図面の完成品は不完全なのです。各縮尺に合わせて図面には記号的な表記のルールなどがありまして、プロならばある程度この縮尺でも十分作れるのが、日本の職人や工務店の技術の優秀なトコロと組めば可能になります。すべての職人が出来るわけではもちろんないです。ですが、優秀な職人なら、「全てを図面に委ねて良いか」と言われるとそうではないんですね。

 

実際にですね、どんな声が現場であがるのか、実例を一つ書いてみましょう。

 

 

 

階段の手すりを植物のツルで巻き上げる作業をしていた職人が、少し悩んだ顔をしていたので声を掛けました。彼が困っていたのは手すりが複雑に曲がる角の部分。ツルをスキマを空けるのかそれとも重ねて隙間を小さくする方が良いのか?「私は誰に正解を求めたらいいのでしょうか?」と聞いてきます。

 

職人にはそれぞれ親方がおり、工務店の社員ですと社長がいるので、それぞれ現場員は直属の上司に指示を仰ぐ体制になっています。ですが、その上司でも判断できないところは、私達設計者に判断の指示を仰ぐような現場体制になっています。

 

この現場の職人のかたの「技術は確かなもの」があるのです。でも「悩む」んです。何にでしょうか?それは「どうにでも出来るのだけれど、どのやり方が相応しいのか?」たとえば密にツルを巻くと重なる部分が増えるから芯材を完全に隠すことは出来るけども、ツルの重なりが太くなり気になるかもしれません。逆に隙間を空けるとすれば、芯材が見えてしまうが、どのくらい見せるのが許されるのか?そんな感じで悩みます。

 

 

そりゃそうですよね。

実際は答えなんて、あるようでないんです。

 

でもですね、「不正解は存在する」んですよね。

ヤッカイなんです。

 

その一か所によって、丁寧な職人の仕事全てが台無しになることも十分あり得ます。そのことを経験的に知っている職人は、センスのいい職人です。大概の職人は「カタチを組み上げる」ことに関してはプロですが、それが全体の空間の中でどのような表情の意味合いを持つかを考える余裕はないんですね。

 

 

 

 

こうするのがいいのか

 

それともこうするのがいいのか?

 

 

二枚の写真のニュアンスの違いがわかるでしょうか?笑

何が違うのか?を突き詰めちゃうのが設計者なんですね。

 

多分どっちにしろ美しいと思えるモノが出来るのですが、私達プロがこだわったところは10年後か20年後、はたまた50年後かもしれませんが、一般の人にも「ちゃんと伝わる」んです。それは実感としてっずっと思っています。一般の方の方がプロよりもずっと真剣でいつも感謝したり驚かされることばかりです。

 

 

 

職人と一緒に悩みながらも、その手わざを最も美しく引き上げるのも「私達設計者のみが出来る特権」だと思っています。

 

 

 

 

「ゆあさくんがくると大変な目に合わせられる」という

愛情の100倍返しのようなことばをいただきながら今日も現場に通っています。

 

 

ゆあさ

 

 

 

 

 

 

 

 

裏方の仕事である設計というウチガワ

今日は設計という「裏方」であるべき仕事のすこし「内側」をお話しできたらと思います。

 

 

 

 

設計者の仕事って頭の中にあるんです。

 

頭の中にあるから、周りの人からは見えない訳で。

 

 

私達の仕事は頭の中の奥深くに眠る、設計者にしか見えない世界を、依頼主である住まい手や、作り主である職方たちの力を借りながら、長い時間と労力とお金を掛けてはじめて実世界に誕生し、世界の人々と共有されます。少しでも共有しやすくするために、模型を作ったりCG作ったりと色々工夫を思案します。

 

 

同様に、設計のもともと。

いわば設計の「種」となるものは住まい手や設計依頼者の心の中に眠っています。

 

それは私達にも完全に見えるものではないので、いつも必死で手探りです。

設計者の中にきっと光るものがあるハズと信じて「設計を依頼」いただき辛抱強く待っていただいて、いつも感謝しています。

 

 

そんなわけですから、個人的思いかもしれませんが設計者は、感謝や喜びと同時に、葛藤も抱えているのではないかと思っています。

 

 

アタマの中にある状態のときは、設計という仕事は何もしていないように捉えられがちですし、折角アウトプットして図面化したとしても、まだ職人の手によって建物は世に合わられるのはまだまだ先の出来事です。だから考え抜かれた設計図面だとしても思いを共有できる同志はなかなか見つからないのですね。〆切は容赦なくやってくるので説得や理解を得るよりも現実的な落としどころに図面を持ってくる必要にせまられることも日常茶飯事です。

 

 

基本的に図面は何のためにあるのかと言えば「建物を実現するための道具」としてあるのですが、なんだかそれだけだとしっくりこないのです。私達設計者にとって見ると、「設計」=「道具」というドライな感情以上の想いがあるように感じます。

 

 

「建物ができる」ことが大事で一番であるのは変わりないのですが、同じだけ「設計者の頭の中で建っていたであろう建物」も同じだけ思い入れがあるためです。どうしても、「実際に建ちあがる建物」と「頭にイメージしている建物」にはずれが生じます。

 

 

先日鳥取と兵庫県の県境にちかい港町を訪ねてきました。

昔汐待ちの港として栄えたこの町のシンボル的建物をどう活用できるかというプロジェクトです。

 

 

 

 

既に往年の町の繁栄は影を潜め、時に取り残されたように建物が建っていました。全国に仕事に出るようになっていつも思いますが、知られていないだけで本当に現代の人が見ても魅力あふれた建物は人知れずいっぱいありますね。

 

 

 

どのように活用されていくのか現時点ではだれも未来を描けていませんが、こういったた古民家には共通して「現代でも通用する」空間的な「質」が存在します。であれば、現代の設計者はこの「建築の上質性」をどうつくるかを真剣に考えていくことで50年100年と魅力の続く建物が出来るのではないかなと思っています。

 

 

では「建築の上質性」とは、どうやって生み出すのでしょうか。

 

 

この答えのヒントが、おそらく「設計」=「道具」という【【ドライな感情以上の想いをもつコト】】なのではないかなと、つとに考えています。なぜそのような考えに至ったかと古民家になんどもなんども向き合っていると肌感覚として、言葉や論理でわからないモノが確かに在るという事を実感してきます。

 

 

その「得も言われぬ魅力」とは「建物の凄み」です。

 

 

その「凄み」の出現は、僕の中では言い換えると「設計の熱量」や「職人の熱量」といったどちらかというと【テクニック(技術)】、、、ではなく【オモイノタケ(気持ち)】の総量で決まるような気がします。だから、金銭の多寡にかかわらず貧しき建物にでも原初的な建物でも等しく心を打つのではないかなと思います。

 

そういった心を打つ凄みをもつ古民家には、単純に建物を完成させようとする、設計ないし、職人、ひいては住まい手までも、それぞれの想いを超えて【建物に奉仕しようとする心持ち】だったのではないかと伝わってくる瞬間が確かにあります。

 

 

そうしたことに気付く時、設計って本当に素敵なしごとなんだなと思うと同時に、後世の人から見ても私の仕事がみられている気がして、民家に対峙するたびに引き締まる思いです。

 

 

手触りがあって、心があったくなるような、そんな図面を描いていきたいと思っています。

 

 

 

 

ゆあさ

 

 

 

 

 

見学会御礼

 

2026年6月13日(土)米倉の事務所の完成見学会に多くの方に参加いただきありがとうございました!

 

お子さん連れで、きてくださった方もいらしてありがとうございます。

これから設計をお考えになっていらっしゃる方や

同業の設計仲間、

以前の建て主の方、

当日に勇気を出して、飛び込みで連絡いただいた方

建築に興味のあるアーティストの方など

バラエティ豊かな顔ぶれで

とても励みになりました。

 

やっぱりですね、「じっさい現場で感じて、その気分をそのまま質問いただき会話する」といったイベントは楽しいですね。

 

私達は大角設計室の作品のプロ(あたりまえ)ですが

意外とこうした場で、質問に答える毎に「ああ、自分はこの建物をそう見たことは無かったな」「なるほど、そういったところを気に入っていただけるのか」といった新鮮な気持ちになれるのです。

 

この新鮮な気持ちが、次の建築の種になります。

 

みなさまにとっても、建築のワクワクの種が心に咲きますように。

 

この機会を寛大に許可いただきました建て主の方に本当にいつも感謝しておりますが、感謝が足りません。また一緒に大角設計室を応援いただけると嬉しいです。

 

それでは皆様、次のイベントでまた、もしくは、はじめましてで会いましょう。

 

 

 

大角雄三設計室

 

完成見学会をやる理由

 

 

 

さてさて、明後日いよいよ完成見学会の開催です!楽しみです。

 

すでにお申込みいただいた方ありがとうございました。

当日お気をつけていらしてくださいませ。

 

まだ、「どうしようかな・・・」と悩まれてる方

ノープロブレムです。

まだ【がぜん参加者募集しております】。

o-sumi@mx9.tiki.ne.jp

0862875037  大角雄三設計室までお問い合わせください。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

本題に入りましょう。今日はですね

見学会に来て欲しい理由について書いてみようと思います。

 

僕が意識している事ですが

見学会に来てくれた方に、持って帰ってもらいたいモノがあります。それは

「建物を見るワクワクした気持ち」です。

 

なんじゃそりゃ、って思われるかもしれません。あたりまえじゃないの?そんなの。って思いますよね?でもですね、意外と忘れがちな事なんですよ。

 

何故でしょうか?

 

それはですね、

知りたいことが、(正確には、知らないといけないと思っているものが)多すぎるからです。

 

 

建物をつくるための情報

  • 間取りの使い勝手を見たい
  • 部屋の広さを体感したい
  • 収納の量や配置を確認したい
  • 家事動線や生活動線を参考にしたい
  • 実際の建築事例を見てイメージを膨らませたい
  • 施工品質を確認したい
  • デザインの特徴を知りたい
  • 標準仕様や設備を見たい
  • 会社の担当者の対応を確認したい
  • 現実的な広さ
  • 現実的な予算感
  • 実際の生活イメージ
  • そのエリアで家を建てたい
  • 周辺環境を知りたい
  • 土地情報を探している

 

  • 何から始めればよいか知りたい
  • 建築費の相場を知りたい
  • ローンについて相談したい
  • 将来のために情報収集したい

 

ざざっとあげてみても以上のようなことではないでしょうか?

 

それらを一言でまとめると

「情報」なんですね。

 

 

それも勿論ないがしろには出来ませんが、折角建物を見に来ているのに

「ワクワクしない」なんて残念じゃないですか。

 

 

見学会に来てくれた方に

持って帰ってもらいたいモノ

 

 

だから、大角設計室の見学会には、他の見学会に無いものがあります。

それは「家を建てる情報」だけではなくて

「家をつくるワクワクや喜び」という感情」です。

 

 

難しいことなんていいっこナシです。

 

 

昨日も建て主と現場でお話をしましたが

「何故ここはこうなっているんですか?」

「そうなんですかあ」「話を聞かないとわからないですねぇ」

と楽しそうに話を聞いていただき嬉しくなりました。

 

それは「情報」のやりとりじゃなくて「感情」のやりとりです。

 

 

大角設計室が楽しんでワクワクしながら職人の方々と成し遂げた仕事の熱量を

そのまま住まい手にバトンをアツアツのまま届ける感じでしょうか。

 

是非、建物をつくるすばらしさを共有できたと思います。

 

そして、許されるならば大角雄三設計室のファンとして

こういった建築を増やし、残していくことに対する応援をしていただけると嬉しいなと思っています。末永く宜しくお願い致します。

 

 

 

ゆあさ

大角雄三設計室の建築見学#クセつよ建築

「古くて新しい」をつくるということ

― 大角雄三設計室 完成見学会に寄せて ―

建築には不思議な力があります。

新しい建物であるはずなのに、どこか懐かしく感じる建物があります。反対に、最新の設備や流行のデザインを取り入れていても、数年後には色褪せて見えてしまう建物もあります。

 

大角雄三設計室が目指しているのは、そのどちらでもない建築です。

 

 

今回完成した米倉の事務所は木造二階建ての建築です。住宅ではなく事務所という用途でありながら、その根底には大角設計室が長年向き合ってきた民家や古建築から学んだ思想が流れています。

 

 

「古くて新しい建物をつくる」

その言葉が、この建物を最もよく表しているように思います。

 

 

長い年月を耐え抜いてきた古い建物には、人を惹きつける力があります。それは単なる歴史や懐かしさではなく、時代の変化に流されない確かな強さを持っているからでしょう。

大角設計室は、そうした古い建物から学びながら、これからの時代を生きる新しい建築をつくろうとしています。

 

 

引き渡しの際に、「秩序と野生」という言葉が思い浮かびました。

 

 

整えられたシンメトリーなプロポーション。建物全体を貫く明快な秩序。一方で、外壁には檜の荒板鎧張りが用いられ、木そのものが持つ荒々しい表情や自然の力強さが感じられます。

 

「秩序と野生」

相反する二つの要素を一つの建築の中に共存させること。

 

 

それは簡単なことではありません。しかし今回の建物では、その挑戦がこれまでになく明確なかたちとして現れているようです。

 

 

 

事務所という用途だからこそ、住宅とは違う問いもありました。

 

 

人が働く場所とは何か。
人を迎える場所とは何か。
地域に開かれた建築とは何か。

その答えを探しながら積み重ねられた試行錯誤が、この建物には込められています。

 

 

 

完成見学会では、ぜひ建物の細部に目を向けてみてください。

なぜこの形なのか。
なぜこの素材なのか。
なぜ木造なのか。

その問いを持ちながら空間を歩くと、建築の見え方が少し変わるかもしれません。

新しい建物を見に行くというよりも、「これから先も残り続ける建築とは何か」を考える機会。

今回の完成見学会は、そんな時間になりそうです。

 

 

「実際に体験しないと分からない価値がある」

 

建築は写真で見ることもできます。図面で知ることもできます。

けれど、本当に良い建築には、現地でしか感じられないものがあります。

木の香り。
足元に伝わる素材の感触。

 

光が壁をなぞる様子。
静かな空気の流れ。

そして何より、「なぜこの建物はこの形なのだろう」という問いに出会う時間です。

今回の事務所は、単に新しい建物を見学するための場所ではありません。

古い建物から学びながら新しい建築をつくること。
秩序と野生という相反するものを一つにまとめること。
時間に耐え、これから先も愛され続ける建築を目指すこと。

そんな大角雄三設計室の考え方が、建物そのものに表れています。

建築に興味のある方はもちろん、これから家づくりを考えている方にも、きっと多くの発見があるはずです。

ぜひ実際にその空間を歩きながら、この建物が語りかけてくるものを感じてみてください。

 

見学をご希望の方は、InstagramのDM、お電話、メールにてお気軽に

 

「建築のことはよく分からないのですが、見学しても大丈夫ですか?」

そのようなご質問をいただくことがあります。

もちろん大歓迎です。

今回の完成見学会は、家づくりを具体的に検討されている方だけでなく、建築が好きな方、木の建物に興味のある方、大角設計室の建築を一度見てみたいという方にもご覧いただきたいと思っています。

見学をご希望の方は、InstagramのDM、お電話、メールにてお気軽にお問い合わせください。

「ブログを見て見学会に興味を持ちました」
「少し話を聞いてみたいです」

 

そんなひと言からでも構いません。

建物についてのご質問や見学時間のご相談なども含めて、どうぞお気軽にご連絡ください。

建築との新しい出会いの場として、多くの方にお越しいただければ嬉しく思います。

 

 

 

大角雄三設計室