大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

受賞報告! まちの”基準”へ

受賞報告です!!

 

岡山県津山市で工事していた↑↑記事の家がこの度、津山市景観賞を受賞しました!

めでたい!

計画係 「令和5年度 津山市景観賞」 受賞結果 | 津山市公式サイト

立派な賞状や盾も貰えるみたいです!

(お客さんと一緒に撮ろうと思ったら照れて断られてしまいました笑)

お客さんも喜ばれていてよかったです!

 

o-sumi.hatenablog.com

さて前のブログ↑↑を見返してみたら、完成をブログに書いてなかったことに気が付き、

これを機に完成ブログを描こうかと思います。

 

工事中は全貌が隠れていたこの外観ですが、

こんな感じで完成しました!

残念ながら天気に恵まれない…

 

ですが建具が入ると景色がグッと締まりますね。

久しぶりに訪れてみると、道沿いの他の建物も昔の姿に復されていたりして

どんどん修景整備が進んでいました。

 

2021年に伝統的建造物群保存地区に選定されて、ほやほやのこの城西地区。

そんなこともあり大角設計としては今回、重伝建の修景工事の”基準”になるような建物を目指しました。

その為に市ともいろいろ協議を重ね、

市の修景方針にも意見をして

受け入れられたり、

受け入れられなかったり

 

実際は文化庁の指導通りに直す方が簡単です。

それでも小さな異例を積み重ねていけば、

まちのあり方にも一石を投じることができると思います。

 

例えば木の白木の部分は、当初色が揃うように「茶色い塗装をするように」との指示があったりしたのですが、

「木は外部の風雨にさらされて自然に黒くなるのでそれを根気よく待ってください」と言葉を尽くして説明し、

無垢のままにすることができました。

 

 

「だって昔の建物も最初は白木だったでしょ」

 

 

その甲斐もあって

名実ともにこの建物が城西地区の基準となったので、

がんがん参照してもらいたいですね!

 

うえにし

雑誌掲載のお知らせ 住宅特集2024年3月号

2/19(月)発売の新建築住宅特集2024年3月号に「駅家の家」が掲載されています。

 

 

住宅は住まい手のためにデザインされます。

 

施設や店舗等とは異なり対外的に発表される機会はあまりないわけなのですが、このように誌面に取り上げていただき周囲に伝えられる(知っていただける)機会を得られることは、非常に貴重でありがたいことだと感じています。

 

 

駅家の家は田園越しに3つの切妻屋根が連なる印象的な佇まいとなっています。

 

敷地周辺は昔ながらの田園風景と分譲地に建つコンパクトな住宅群が混在する場所でした。都市開発がじわじわと進んでおり、工事中にも周辺には新しい住宅が何棟か建ちました。

 

駅家の家は今後も変化していくだろう周辺環境の変化に耐えうる住まいとしたいと考え、各居室を中庭に対し開き、外観はやや閉鎖的として、周辺とのゆるやかな関わりを考えました。

 

専門誌ですので近所の書店には並んでいないかもしれませんが、昨今はネットで手軽に買うことができます。興味がある方はぜひ手に取りご覧になってください。

 

さの

蜻蛉の鬼瓦

 

群馬にいってきました。

 

岡山の始発に乗り込んで、真っ暗な空を抜けてくると

目的地に到着する頃には真っ青な時間になっていました。

 

はじめての群馬での冬です。

 

今までは気づかなかったのですが、川の向こうに真っ白にそびえる雪山が見えます。

なんていう山なんだろう?って住まい手に質問すると

あれは「浅間」ですよ。と教えてもらいました。

 

群馬と長野の県境にそびえる標高2550mの山。

群馬に来ることになって、上毛三山「赤城」「榛名」「妙義」は覚えていたのですが、

まだまだ知られざる景色がありすぎて、群馬県は地理的にもいろんな意味でも

奥深すぎです。

 

 

 

すこしプロジェクトがとまっていましたが、ふたたび始動することになり

打合せに行ってきました。

 

木造建築は一般的にはあまり意識されませんが、

「木の乾燥具合」を意識することがとても大切です。

 

木は水を吸って成長しますから、山で伐採した直後水分を含んでいます。

そのまま建築木材として使ってしまうと、

時間と共に水分が減ることで、木が変形したり、縮みや割れなどが発生し

建築強度や美観などに問題が発生してしまします。

 

だからと言って、ガンガン強制的に乾燥させれば良いかと言えば

そうでもないのが木の難しいところ。

 

お風呂あがりの髪の毛をイメージしてもらうと分かりやすいのですが

上手にドライヤーをあててくれる美容師は髪を乾かしつつも

髪の表面を傷めずに、なおかつ、艶を引きだしながら

しっとりしなやかな質感で仕上げてくれます。

 

木も同様で、ガンガン容赦なく乾燥させることも可能ですが

それは「木本来の粘り強さ」「しなやかさ」「艶のある美しさ」「香り」「肌ざわり」

などなどを失う諸刃の剣にもなり得ます。

 

そのへんの事に今回はこだわって、木を山から伐採する時期、伐採する山、乾燥方法

それらを丁寧にしてもらっています。

 

 

丁寧といえば、群馬県は高崎にある「マルキ」さんに施工いただきます。

その工事風景も見さしていただきました。

 

戦後空襲を受けた高崎市

その後比較的早く建てられたレトロ感と文化が薫る小住宅でした。

今回はその建物を改修されている最中でした。

 

「今回は何もしないことにしました」とは社長の談。

 

みなさんお判りになるでしょうか?

 

 

よく古い家をつかった古民家カフェや、雑貨屋さん、ゲストハウスなどがありますが

ここでいう「何もしない」は世の中にあふれた「何もしない、とは、別物」です。

 

「何もしてない」と思われるほどに「不要なことは加えない」けれども

「必要なことは徹底的に手を加える」ということを言わんとしているのだなと

現場を見て思いました。

 

 

「何もしない」=「何もしなくていい」とは違うというコト。

これの判断の線引きが出来るかどうかが、巷にあふれる

「セルフビルド」や「DIY」と【プロの仕事】の(気づかないけど)大きな違い。

なんだナァとしみじみ。

 

 

 

 

この家には高崎城につかわれていた鬼瓦が転用されていて

何だかよく似合ってます。

 

古くて良い物って、儚くて、なくたって困らないように一見思われるけど

名もなき誰かが引き継いで、守って、ようやく私達に届くんですよね。

 

「技術」だって同じです。

 

分かりづらい見えないバトンを、職人さんや設計者は、古い建物から読み取って

次の時代へ渡せるように背負っていく。

その繰り返しなんだろうなぁと思います。

 


とは言え、そんなカッコつけたことは良いから

さっさと、さっさと、家を建てませんかねぇ~(家族の書初め)と

住まい手の家族からの想いのバトンもしっかり受け取らして頂きました。

 

 


そういえば、あの鬼瓦に彫られた家紋は「蜻蛉」。

「前へ前へ進め」という決して後ろを振り向かないで飛び続けるトンボのごとく

頑張りましょうねと、私に語り掛けていたんだろうなぁと。

 

楽しんでがんばります!

 

 

 

ゆあさ

大角設計室の動画ついに公開!

 

お待たせしました、昨年末に予告しておりました、

大角設計室の施工例「動画」です。

 

住まい手に協力いただき、自然な暮らしぶりを見せて頂きました。

 

家づくりを検討中の方のために

建物見学会なども開催していますが、

大勢の方が「こんなシャレオツな家に自分が住めるんだろうか?」と

たじろぐケースが多いのですが、そんなモヤモヤを吹き飛ばすくらい

「楽しそうに」「幸せいっぱい」に住まわれている様子をお届けできると思います。

 

住まいをお考えの方もそうでない方も

ジャンジャン拡散宜しくお願いします。

 

 

ゆあさ

とある雑誌の撮影でした

 

 

とある雑誌の撮影でした。

 

 

 


駅家の家(23年2月竣工)を撮影していただきました。


雑誌についての詳細は、また近日お知らせしたいと思います。

 


竣工からちょうど1年が経ち、


引渡し時に比べて建物がしっかりとそこに建っている感覚がありました。

 


それはきっと


"住まい手の暮らしが確かにこの地に根を張りはじめている"


ということなんだろうと思います。

 

 

書斎のご主人さんの居場所


台所に立つ奥さんの様子


畳スペースでひっつきながらテレビを見る子どもたちなど

 


家族各々のシーンすべてがゆるやかにつながっていて、


上手に住んでいただいているなと思いました。

 


自分の仕事が誰かのためになっていると感じられる瞬間は、


やはりうれしいものです。

 

 

 

 

できることを少しずつ。

 

精進せねばと思います。

 

 

さの

トクシーマ・システィーナ

徳島県にきております。

 

徳島で現在立っているビルなどを再生物件としてふさわしいかどうか、建築家目線で見て欲しいと相談をうけています。

 

一緒に建物を巡るのは、以前徳島でお世話になった老人福祉施設の依頼主です。

毎年冬になると、徳島にお呼びいただいて、何軒か候補物件を見るのが

ここ3年ほどの恒例行事です。

 

 

建物を見終わった後、一緒にご飯を食べたりお茶をしながら

「あの建物、どう思う?いける?」「たっかいんっじょ~」などと

たのしい阿波弁を聞きながら見学したデータをその場で簡易にまとめ

分析・説明し今後の打合せや、日程を決めていきます。

 

 



徳島で検討中の物件はわりあい築年数が経った鉄筋コンクリート構造のものが多く

費用面や工事期間等がプロジェクトを進めるうえでかなり厄介です。

 

ですので、簡単にちゃちゃっと計画してデザインしてというわけにはいかないので

こうして長い年月をかけて、依頼主の要望や心の奥底に眠る夢、

長期的ビジョンなどをしっかり推し量ることのできる関係性が大切だなと

つくづく思います。

 

そのためにはやはり時間が必要で、

だけどその大変な時間を依頼主と設計者が乗り越えられるとき

素晴らしい結果が生まれるのではないかなと思います。

 

 

そんな、時間をこえた難工事のストーリーに励まされる

ミケランジェロの最高傑作システィーナ大聖堂を見に大塚美術館へ。

 

時や場所を超えて、

依頼主に出会えることはほんとに幸せだなと

日々実感しています。

 

 

ゆあさ

古民家再生の歴史: 35年前、岡山県で生まれた運動



35年前、岡山県で六人の建築家が「古民家再生工房」を結成しました。

 

古民家をモダンリビングに!をスローガンに

岡山県内のみならず、全国に活動の領域を広げてきました。

 

現在でこそSDGsなど持続可能的な価値観が広がりつつありますが

「古民家再生工房」結成当時は1988年とバブル景気の真っただ中。

世の中は「スクラップ&ビルド」の大号令で、

田舎に残されたポツンと佇む民家はひときわ貧しく、弱弱しく、

あんいに「壊してしまえ」と住まい手も、建築業者も考えるのが当たり前。

 

「リノベーション」や「リフォーム」などというコトバも知られていない時代。

 

 

「古民家再生」ということばは「岡山」から生まれた言葉です。

 

 

特別ではない風土の中で

名もなき人たちの生活を物言わず器として

名もなき職人の手によって創られた「民家」。

 

その民家を「保存」ではなく「再生」して

「現代・未来への生活の器」としてデザインすることを

「古民家再生工房」は35年もの間創造し続けています。

 

35周年以降のストーリーへ続く展覧会を今年の3月に岡山で開催します。

順次開催情報をアップしていきたいと思います。

 

お楽しみに。

 

 

 

大角雄三設計室