大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

根っこ


屋根は不思議な文字です。
地面よりも空との関係の方が深そうなのに。
「屋」はまだなんとなく意味わかります。
でも「根」はなんでしょ?

その昔、屋根は地面から離れていなかった頃の
名残なんでしょうか。
竪穴式住居として人が初めて建築をつくった時
地面に斜めに立て掛けた棒に、草ぶきの屋根を掛けました。
まだ柱が発明される前だったので、屋根を支える構造の関係上
屋根は地面とひとつづきだったのですね。

その成り立ちのせいか、屋根は空に掲げられながらも
大地との美しさを担保してくれます。
最近ビルの街並みのなかにポツリと小さな小屋を
建てているせいか、そんな気分になります。

必要に迫られてうまれた屋根。
そんな原初的なかたちだからこそ、
密やかな美しさがあります。

だからなのか、ただ、経済効率だけからうみだされた
屋根は美しくないようにも思いますし
美しくない屋根は、大地との関係も上手くいっていません。

そんな民家は根なし草です。
どこに帰れと言うのでしょう。



ゆあさ