大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

ヒロシマ

メンテナンスで広島に行ってきました。
この物件には木のデッキテラスがあり、
そこから、隣の敷地の大角設計室の建物が見えます。


同じ設計者の建物が、道路に沿って2つも並ぶのは
極めて珍しく、恵まれた事だと思います。

今回メンテナンスに来た建物の方が
漆喰の外観をベースとした「白い」民家。
一方お隣のずっと前に建てた建物は、
焼杉板を基調とした「黒い」民家。

2つの建物が重なりあい、白と黒のコントラストが響きあう風景が
経年変化によってますます魅力的になっていると感じました。

現代的なハウスメーカーの町並みは、中々
伝統的町並み保存地区で有名な倉敷や竹原のように
素敵な風景に育っていきづらいように感じます。

その理由は何か。
それは「時間と共に美しく変化」することが出来るか、出来ないかが
鍵ではないでしょうか。



経年を感じさせる仕組みをこの次の写真から探ってみましょう。
この建物には石の彫刻が、中庭に設置されています。
その為に、3つの楽しみを味わうことができます。

1.建物の楽しみ(年ごと)
2.植物(日々・四季)
3.石 (永遠)

1.大角設計室の建物はゆっくり年を経て、味わいを増します。
2.一方庭木は、一年のサイクルを通じて日々の移ろいを生活者に知らせてくれ、
建物よりも、ちょっとだけ早いリズムで成長を楽しむことができます。
3.最後に石の彫刻は、人間の寿命とは比べ物にならない程にゆっくり年を経て
微小の変化を続けます。


時が変化する事を感じれるということは
「美しさ」を「物質的に受け入れる」ことを意味します。
簡単に言えば「古くなる・汚れる」という言葉で言い換えることができるかも知れません。
日本人は、この古美る変化を敏感に、しかも肯定的に捉える豊かな資質があります。
風化され、削られても美しくある為にはどうすればいいのでしょうか


古民家は、古くなっても汚くなっても、
ネガティブなイメージを吹き飛ばす美しさに満ちています。


これからの時代の価値観として
「時が染み込むような建物であるか」どうかは
大切になってくるのかも知れません。
と同時に、変化を味わいとして感じられるように、愛される設計であるかどうかが
重要になってくるのだと思います。


ゆあさ