何気なく組まれている丸太ですが、
実はデザインされています。
丸太は主に屋根の荷重を柱に伝える役目を担っています。
一般的に角材ではなく丸太を使用する主な目的は、構造的な意味合いが強いのです。
しかし、
ワザワザ構造的にも美観的にも役立つよう
一石二鳥に組上げるのが、木造の面白みであり
設計者の腕の見せ所です。
例えば、この家のケースでは丸太が室内から室外へ飛び出すように
組まれています。
建物の外壁面から20センチほど丸太の先端を長くのばすようにしています。
このように、内から外へ構造材をのばす事を「渡り(ワタリ)」と言います。
そうする事で、視覚的に丸太が伸びやかに感じられ、ゆるやかな丸太の曲線を
知らず知らずと際立たせるようにしています。
外から丸太を見ますと、列柱部分はガラスが嵌められますから
屋根の重みを支える丸みを帯びた丸太が、
フワリと浮かんでいるように感じられるように設計しています。
勿論構造的にも意味があります。
丸太を上下から挟み込むように組上げる事によって
丸太の横揺れや将来的なネジレに対して押さえ込めるようになっています。
さらに丸太の削り方も指示する事によって
一石三鳥空間へと仕上げていくのが設計者の役割です。
ゆあさ
■このブログの続き →分棟という建て方へ■
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