大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

白地蔵

雪景色のなかで相性抜群と思っているものの中に
地蔵。


じぞー、様
が、あります。



岡山にも今年はちらちら雪降る日がありまして
事務所の近所も幾度か白んだ景色を見せてくれます。


雪に日は、色があるのにモノトーン色といいますか
コントラストのやわらかな空気感になります。
石は少し水に濡れたほうが美しい肌理をみせますし
雪の地面にバウンドした柔らかい光が、石を下から照らし影を消すことで
重力感を浮遊感にかえてしまいます。
写真に撮ると特にわかりますが、音がない音がする空間。場を しん と変化させます。

こういった美しさを感じ取るのは
実に日本的な感覚なのかも知れません。それは
小さな頃から慣れ親しんだあるストーリーのせいかも知れません。

おとぎ話「傘地蔵」は、先ほどのような
雪の浮遊感、光と静寂の空間。さらに雪中石の質感を絶妙にとらえた名作だなと思います。


雪の白は、現代住宅に使わされるただの「工業色の白」
とは、あきらかに違うモノであり
設計者にとって示唆に富んだ「白」です。
昔の人は、自然界の中でいかに人工物を
つくりあげるかを熟知していたのかも知れません。




ゆあさ