大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

奥ゆかしき

だいぶん出来ました。水島の現場もジワリと完成に近づいております。

このあたりは新興住宅地から少し離れているため、比較的
昔から続く町並みのなかに建っています。

そういった場所柄に建つわけですから
建物が建つ事で
この辺りの雰囲気が一気に良くなるような、
そんなイメージが設計当初より、ずっと頭の片隅にあります。


良い風景を、一軒の家だけではなくて
廻りの家並みや山並みとつくることが出来ればとてもいいですよね。



大角設計室の建物は敷地外の建物や自然とのつながりを大事にしていますが、
勿論敷地内もちょっとした町並みのように
各棟が風景になったり、生活のシーンの背景になったりといった
さまざまな視線のつながりを意識しています。

繋がりを空間で生み出そうとすると普通の考えなら、
つなぐ始点から目的地までの障害物を取っ払う事が一番単純です。
分かりやすく例えると
自然と繋がりたい→「おおきなガラス窓」。みたいな。

ですが大角設計室ではそんな状況でも
「あえて」柱や建具などで「障害物」を設ける事があります。

それは何故でしょうか。



日本人は、モノとモノの「距離感」「間合い」を楽しめる文化があるからです。
スッカラカンに抜ける気持ちよさも、確かにあると思いますが
対象物までの視線が一度遮られる事で空間に初めて「奥行き」が生まれます。
浮世絵をそんな視点で一度ご覧になってみて下さい。
平面的では決して無い、グラデーショナルな豊かさを日本人は楽しんでいたんだと思います。

「物理的な距離」と「精神的な距離感」その2つが備わる時
なんとも言えない心地いい空間が作れるような気がしています。


ゆあさ