大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

道とタメ

メンテナンスで以前設計監理した広島の家を訪ねました。

この家は僕が学生時代模型を作っていたところで
棟上げ時や、完成時には連れて行ってもらっていた記憶があり
とても懐かしい感じがしました。


この家には前面道路との間にちょっとした小庭があります。
工事中はまだ前面道路は、あまり人の通らない
静かな道路だったのですが、道路拡幅の計画があった為に
将来に備えての措置です。





今回既に道路拡幅工事がなされており
建物のロケーションが、多少変わっていました。
こうなってくると、あの最初の計画の小庭が効いています。

単純に道路との境に塀を建てて区切ればいいという訳でもありませんし
もっとオープンな形でも建物と町を緩やかに美しくつなぐ事が出来ます。

そのために必要なのはやはり、心理的タメと最小限の物理的タメです。



現場から少し離れたところに、広島の町並みとして有名な「西条」があります。
お酒好きの人には言わずと知れた町ですが
「伏見」「灘」「西条」は日本三大酒処であり、多くの酒蔵が構成する町並みです。

町並みとはいえ、ゆっくり歩ける町というよりまあまあ交通量の多い
道路に面した蔵が多いので、いわゆる町並みらしさはやや弱いかなという印象です。

不思議ですよね。
いくら立派な建物が道路に面して建ちならんでも
どこか、とってつけたふうになる。
だから人が建物に魅きつけられづらくなります。




おや?
でもここには人がいますね。
うまい酒ある処に名水有りとは良く言ったもので
この酒蔵のまえにも、名水が湧き出しており、市民に開放されています。

こういった人が集まる装置と共に
杉の植栽や、井戸の設え
僅かな竹垣。これらちょっとした建築的要素があることで
なんとなく、道路と建築の間にタメができています。

いやーほんと竹垣が効いてます。

「垣」とはいえ
緩やかに間仕切るのがコツです。つまりは緩やかに繋がってもいます。



帰りに見た土着的な建築。
凄まじくカッコいいナァ。




ゆあさ