大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

ひとりでできるもん

プロの間取りと一般的な間取り


住宅をつくる時、一般的に最初に考えるのは「平面図」平たく言えば間取りだと思います。

最近では、簡易CADソフトが格安もしくは無償で出まわり
設計のプロでない方でも,そうしたコンピュータの技術を利用して
こんな住宅がいいなぁと、
自分で間取りを制作し想像を膨らませる道具として役に立っているようです。

そういった図面と、設計のプロである設計事務所が描いた間取り図は
一体どういった「違い」があるのでしょうか?
その違いは 白紙の部分に隠されて います。御注目下さい。




描かれていない情報量



例えば、階段部分。
コンピュータの検討図面では、簡単に階段のマークが出てきて描くことが出来ますが
実際の空間になると、高さや距離。構造材・仕上材が複雑に絡み合う場所であることが
写真をご覧いただけると良くわかると思います。

設計者は、同じように階段の間取り図を描く時に、おぼろげながら頭の中で
空間のバランス・構造のバランス・金銭のバランス・経験的バランス等をイメージしながら描いています。
それくらい階段の設計は難しいのですね。
建築家のなかでは「階段が上手にできたら一人前」とさえ言われています。

一般的には間取りを考える時、あまり重要視されていない階段部分ですが
生活する中で一番ダイナミックに立体的に空間を経験出来る装置として
いい設計者の建物は階段部分に力が注がれていることが多いように感じます。


間取りで気をつけること


間取り図がそういった風に簡単に作成できる昨今、
気をつけたほうがいいのではないかと思っていることがあります。
それは、「間取り図の中だけに、入り込み過ぎない」と言うことです。
間取り図を作る行為は、パズルを解く感覚に似ていて病み付きになります。が、
間取り図で完璧でも、実際の敷地に置いてみるとシックリこない、なんてことも良くあります。

間取り図上は問題なさそうに感じられる間取りの
メーカー住宅が建ち並ぶと、町並みとして何だか味気なく感じるのは
間取り図では表現出来ない、周辺との関わり等の考慮が
抜け落ちてしまいがちになる為ではないでしょうか。


人はパズルで出来た「論理だけの箱」に住むことには適していません。
間取り図に描かれていない情報こそ、豊かな可能性を広げる見えない線なのです。


ゆあさ