大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

図面とリスペクト


今月も日本のいろいろなところに行きました。
岡山県外での仕事の担当が5年くらい切れずに続いているでしょうか。
各地で大工さんや監督から「大変だねェー」とか労いの言葉をいただきます。
と同時に、良く言われる言葉があります。
それは「どうやって監理しているの?」です。

物理的に遠い現場は、毎日は監理に行くことができません。
だからと言って、現場の人たち任せではなかなか上手くいきません。

遠隔地の現場をいかに素晴らしい現場にできるか?
自分なりに試行錯誤の最中ですが、その中で改めて気づかされたのが
「図面の大切さ」です。
正確には「図面への敬意の大切さ」でしょうか。


現場では職人さんが図面のことをよく「マンガ」と呼んでいます。
それは失敗の許さない職工の仕事をチャラチャラした絵で指示する
図面屋に対する若干の皮肉がまざった言葉です。

実際に設計図面は描く人によってはレベルは千差万別であり、設計業界のことをある程度は的確に言い表した表現であると思います。
日本の多くの現場では、図面を真剣に眺める必要性を職人は感じていない(なんて言ったらビックリされるかも知れませんが)ケースもけっこうあるのではないでしょうか。



図面を生業にしていない方には、図面はあくまで「平面的」なものであり
記号的というかイラストみたいなものに感じられます。
ですが本当に血が通った図面というのはその中に
光や影。時のうつろい。素材の質感や、足ざわり手触り、木のかおりがこめられています。

そうした事を現場では理解してもらえるような努力をしています。
この「マンガ」には作り手に伝えたいどの様な意味があるかと説明します。
図面をただ、細かく何枚も描けばいい、というわけでもなく
「図面を描いている意味」を共有化出来るかが大切ではないかなと思います。
県外の現場では本当に図面をリスペクトしてくれているのがわかります。
そうしていただけるものづくりのパートナーが全国にいてくれるお陰で
楽しく今日も現場に通うことが出来ます。



ゆあさ