大角設計室のブログ

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再生工事の実施設計

今回は久方ぶりに連載記事、「再生について」を更新します。 前回のおさらい→これまでの「再生について」おさらい

前回までで、再生の基本設計までのプロセスを紹介しました。
実測→ヒアリング→基本設計のプロセスを経て、次にやって来る工事プロセスは
「実施設計」です。

基本設計とは、施主の方の要望をお聞きして間取りを決定することですが、
「実施設計」とは、一体どのような図面でしょうか。


見積をする上で欠かせないもの

基本設計図が「施主の方と設計事務所の間」でのコミュニケーションの道具として必要なものであるように
実施設計図は、「施工業者と設計事務所の間」でのコミュニケーションの道具として活用されます。
わかりやすく言いますと「実施設計図をもとに見積をし、工事を行います」。


プロが見れば、柱が何本、壁土が何㎡。コンクリートが何㎥必要か計算出来ます。
またそれに伴って、大工・左官・土工の各職人がどの順序を踏んで工程を進めていけば良いか、
それらの職人に掛かる人件費がどのくらいの日数必要かを計算する事が出来ます。
当然、工務店や各職人の経験値や技術力、材料のストック量等により見積もり金額に差がでます。
不当に高かったり、実現不可能なほど安かったりと、設計事務所は見積書をチェックする事で
工務店の力量を計ることが可能になります。



坪単価という表現のあやふやさ


設計の打合せをしている時に、良く聞かれるのが
「坪当たり大体どのくらいの金額」で建てていますか?という質問です。

一般的に住宅を建てる時、
ハウスメーカー工務店・大工・設計事務所の住宅を建てる場合
比較検討する材料としてつかわれる言葉が「坪単価」です。
坪単価とは工事金額を工事面積で割る事で、家がひと坪当たり何円で出来ているかを計算する事です。
例えば2000万円の工事費に対して40坪の家ならば、
2000÷40=50  坪単価は50万円/坪となります。

この金額を聞いて、ここの業者に仕事を頼もうと判断される訳ですが、一つ注意すべき点があります。
それは、ハウスメーカー工務店・大工・設計事務所それぞれの家は、

「全て違う」 という点です。

大きさも・形も・技術も・地盤も何もかもが違うそれぞれ「別の家の坪単価」を比較する事になります。
おまけに、その坪単価の中に設備(照明器具・洗面台などの衛生器具)・基礎・基礎杭・外構・吹抜け部の面積などが含まれずに
計算されている事がままあります。

吹抜けがある家と無い家。木材が集成材と無垢の家。
大工さんの仕事が機械的なプレカットと職人が墨付し手刻みする仕事。
丸太を使う家と、角材しか使わない家。
瓦の家と、鉄板の家。同じ家は一つとしてありません。
ネットや写真上ではコテで職人が塗るシックイ塗りも、ローラーで塗る薄いシックイも見栄えは同じです。
表面だけしかお客さんには見えませんので、
下地部分までちゃんとなおすか・直さないかも確認するまでわかりません。
多少ニュアンスが違うかもしれませんが、「グレード」がそれぞれ違うという事です。

どうやって本当の値段を知ることが出来るのでしょうか。

長文になりましたので
続きは次回に。

つづき「再生について」実施設計2へ

ゆあさ