大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

木の家四方山話

加工場に来ております。

施主の方には木の家に関する噺をいろいろしたいと思っています。
今回は家に使われる構造材の中でも
四角い材を一緒にご覧いただきました。


私達は基本的には、木に一番触れている時間の長い
職人さんや、工務店の社長さんから
直接お客さんに説明をして欲しいと思っています。

一番苦労をして、我が子の様に手塩をかけた木材を
お客さんに伝えて欲しいんですね。

なんというか、そういう姿が
お客さんにはきっと、温度として伝わる筈なんですよね。





でも、ものつくりって、不思議なんです。
ものに長い時間、じーっと向き合うと、なんだか木と喋っている感覚にちかくて
人間と話すのがだんだん、だんだん、口数少なくなってくんですよね。

だから、大工さんをはじめ、職人さんは、だいたい
「見れば伝わる」。と念をお客さんに送るだけで
説明を忘れがちです。

すぐ上の写真だって、大工さんと雑談中に
しれっと大工さんが作業をしている風景ですが
きっとお客さんに、今こういうことのためにこの作業をしている
と伝えるときっと、得難い体験になると思います。


それだけものを一生懸命、緊張しながらつくって下さっている
ということでもありますが、
一生の大きなイベントである施主の立場からすると
「やっぱり、いろいろ知りたい。」というのが偽らざる気持ちだと思います。


そこで、技術の翻訳家として、「設計事務所」が登場します。



さて問題です。
この材木を見た時に、施主さんにどういった情報を提供出来るでしょうか。


どの家を見学にいっても、この家は○○が凄いだとか
××がこだわってるなど、全ての住まい手が作り手から聞いていると思います。

そうなんです。

想いを持ってない家なんて世の中には存在しません。


でも、中でも、ココは、本当の本当に凄いんだヨ。
ってことは、そんなに多くはないものです。


さきほどの噺に戻りますが
作り手は、ものに向き合いすぎて、
つくっているものを客観的にはだんだん見えなくなっていきます。
つくることに熱を帯びてくるからです。


加工場は、材料の産地、種類、等級、刻む方法、職人さんの技量などなど
伝えたい情報量が多すぎます。

だから、ふつうお客さんは、その情報量と
作り手の熱量に圧倒されてしまうので、
なんとなく「いい」というのは伝わるんですが、
すべて飲み込むのはちょっと難しいのではないでしょうか。

少し噛み砕いて分かち合うと、本当にいい思い出になります。


だからこそ、今見ている加工場そのなかで
私の家は、どこに力を入れてもらっているのか、とか、
大角設計の設計した家は何処がスペシャルなのか
聞きたいですよね。



私達設計事務所も、職人さんからは、努力した点や、材料の説明等を
事細かに説明を受ける訳ではありません。

では、どうやって、価値ある情報を現場から掘り出すか。


それは簡単なことですが

「気づき」をもって、そのお礼を工務店や、職人に伝えることです。


もくもくと、目立たぬ作業が続いています。
その成果が今日アップした写真にも、よく現れていました。

みなさんは気づかれましたか。

「気づいた」ことをお礼として伝えて下さい。
褒められなれていない、大勢の職人さんは、照れながらも
色々、家にまつわる秘密を教えてくれるでしょう。

説明は苦手な職人さん達も、
おしゃべりは、だいたいみんな好きなんですよね。

次回は、丸太がズラッとならんだ加工場に施主さんといく予定です。
楽しみです。




ゆあさ




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