大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

土間空間の活用

三日連続で「土」についての記事を書いてきましたが、
改めて魅力的な素材だなと気づかされました。

さて、では昨日の続きで現代に土間空間を設ける理由を考えてみましょう。


土間空間の豊かさ



今一度土間のある民家を想像してみて下さい。

外部から家の中に入っても、「土」と言う連続した
空間のつながりがそこにはあります。
よく外部との関連性が高い空間として
例にあげられる「縁側」よりも、
もっとひそやかに自然と繋がっている空間と言えましょうか。

現在の空間は、外部と内部がハッキリ区別されているため、
なかなか自然を取り込んだ豊かな生活がしづらいのが現状ではないでしょうか。

半外部というより、半分地球となんとなく繋がっているような
そんな居心地の土間空間は、不思議な開放感・安心感に満ちています。


もう一つ。
大角設計室の土間は玄関口にあり、
アトリエ棟と応接棟をつなぐ形で配置されています。
そのような場合、一度スリッパに履き替えて各棟に行き来します。
「ええ!一度下履きに履き替えるなんて面倒・・・」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、
慣れれば履き替えるのに一秒くらいしかかかりませんし、
スリッパを履く行為によって、次の空間に行く前に頭がリフレッシュされます。

そうした日本独特の下履きの文化を利用して、
「ちょっとそこまで」的な
心理的な距離感の演出にもつながり、実空間以上の距離感や広がりを感じることができます。




土間の質感


ではなぜ土間空間は敬遠されるのか最後に考えてみましょう。
土間空間で特に素材を「土」にすると土ぼこりが舞う可能性がありますし
乾燥によりタタキ土間はヒビ割れます。固いヒールを履いているとやわらかい土はエグレます。
この問題は、土間空間の素材を石や洗い出しにする事で劇的に改善します。





しかしながら大角設計室にあるような、三和土(タタキ)土間は
そういったリスクを抱えていても、土のもつ魅力は格別です。
やさしい風合いは、観葉植物や花を飾ったりするのによく合いますし
アートを置いたり、ちょっとした料理をしたりと抜群の使い勝手です。

土ぼこりやひび割れの問題も
毎日水をジョロに入れ、撒くことで改善されます。
毎朝、大角事務所の朝は土間に水を撒くことから始まるのですが、
水を上手に撒いて、美しく水が土間にしみ込んで引いていくのはちょっとした楽しみです。


いちど現代的な土間での生活をお勧めします。



ゆあさ