大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

隣家の重要性

長屋の現場について今日は書きます。


工事も順調に進んでいる訳ですが、
いつもと違い5棟同時に建てている為に
いつも以上に、近接している隣家との関係性を気にしています。
窓の位置や、生活者による騒音、
居室から見える風景や、光や風の抜け等々、
全て建物単体では考えられず、5棟全体で考慮する必要があります。



この建物の居間からは、中庭を挟み隣の家の壁が見える訳ですが
これがなかなかいい感じです。
迫力があり、美しい壁です。他人の家の壁が風景となります。




そして、もう一つ。
二階の部屋の壁と屋根の間にガラススリットが入っているのですが
そうすることで、連続する屋根並みの風景が室内に美しく取り込まれます。
これも隣家のお陰で室内環境の質を上げることに成功しています。

建築は良く「芸術」と表現されることがありますが
正しくは「社会的芸術」だと思います。
建て主に利益をもたらすのは勿論ですが、
個人を超えて、社会全体の恩恵になる建物を全ての人が目指せば
どれほど素晴らしい町並みになるのでしょうか。
それは肩肘張らずとも実現可能であると民家は教えてくれるているような気がします。


ゆあさ