設計事務所の仕事は図面を描いたり、現場監理を行ったりすることです。
図面は一枚の紙に二次元的(平面)に描かれるものですが
現場では三次元(立体的)に建物は出来上がります。
平面と立体は何が大きく違うかと言うと
そこには「奥行」がある、なし、が大きく違います。
例えば、最初の写真で設計者として大事にしているのは
写真左手前にシックイ壁の三角屋根が見えています。
その右側にちょこっと黒い壁のある三角屋根が奥まって見えています。
このちょこっとの黒い壁の三角屋根が見えるかどうかで
建物全体の雰囲気がビシッと引き締まるか、
どこかピンボケのかんじになるかが決まります。
もう少し細かく言うと、
単純に奥になにか見えればいいというものではなくて
だんだんと手間から奥へと「関係性を感じながら、つながる」
そういった奥行性が、デザインする上で大切です。
「シークエンス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
最近ではフィギュアスケートでよく「ステップシークエンス」という言葉を
聞いたことがあるかと思いますが、ステップの連続した構成のことを示します。
デザインで使われる「シークエンス」という言葉の意味は
「一つの要素を、次の要素に関係性を持たせながら、連続、展開していく」ことを示します。先ほどからブログ記事で書いている「奥行性」についてですね。
特に建築では、この概念が大切にされています。
建物の中を人が動いて行くことによって、視線や、視野、感情が変化しますから
次々につながる空間や部屋、見える風景などをどのように構成するか
そういったことが設計者の技量にかかっています。
一般の方は部屋と部屋のつながりというと
「間取り」のイメージで、キッチンの隣にダイニングがあって、
その隣にリビングがあるといった「機能的な(つかいかたの)つながり」については
考えたことがあるかもしれませんが、
設計者は
直接的につながってないように見える場所までの
「全体的奥行(機能的・身体的・視覚的・心理的・無意識的)」を検討することがしばしばあります。
大角設計室のシークエンスは、どちらかと言えば
メリハリが効いたものが多いと思います。
たとえワンルームだったとしても、
そこに設計者がどんなシークエンスを生み出せるかで
建物の豊かさは何倍にも広がっていくと思います。
ゆあさ