大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

いえのかたち


家のカタチを、設計者がきめています。

でも、あらたまって考えてみると
「カタチ」とは何でしょうか。

家にカタチが必要なのでしょうか?
カタチがどれほどの影響を及ぼすのでしょうか?


少し、カタチの秘密を探ってみましょう。


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「家のカタチを描いてください」

と、紙と鉛筆を渡されたとします。

そうすると、ある人は部屋の間取りを描くかもしれません。
また、あるひとは外から見た家並みを描くかもしれません。

間取りを描くとき、鉛筆の線を四角く、ぐるりと囲い込みつなげて描きます。
外から見た家並みのかたちも、地面を描いて、壁を描いて、屋根を描いてと線を家型に囲っていきます。


最初の質問に戻りましょう。
さきほど私達が「カタチ」と言われて想像したものを表現する時に
なにがしかの線を引くことが、なんとなく理解できると思います。

単純にカタチとは「アウトライン(外側の線)」である。ということが出来るかもしれません。
勿論、建築家のいうカタチとはもう少し広い意味のことをさしますが
今回のブログにかぎり、カタチ=アウトラインとして進めます。

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この現場に建つ、家のカタチがどういった理由でできたか。という話は今回は省略。

様々な職人の手を経て建築が建ち上がるとき
そのカタチをつくりあげている要素に注意深くあるべきです。
そして、それぞれの要素の中で「アウトライン(外側の線)」がどうなっているかを
注意深くみると、すこしずつカタチの秘密が見えてきます。



たとえば、瓦。のアウトライン。
瓦の厚みがどれくらいあるかご存知でしょうか?
重なる曲線の波形のアウトラインの反復。

この瓦の先っぽはどんなカタチになっているでしょうか。



例えば、屋根の傾きのアウトライン。
屋根の高さが変わるなかで、手前の屋根のラインと奥側の屋根が重なります。
鉄板屋根には、縦のラインと、横のラインが入っています。
このラインは、太陽の光で反射し、
線が眩しくて見えなかったりすることもあるので
意図したラインがちゃんと出るように、方位やピッチ等の慎重な検討が必要です。



暗いところから明るい外を見たときのアウトライン。
カタチの印象は360度ぐるりとイメージする必要があります。

どの向きから見ても合格点を目指しますが
なかでも一番良い角度が出来るように
全体のアウトラインをととのえていきます。



思慮深い設計者が、一本の線を図面に落とす時に
実に多くの検討がその一本には含まれていますが、
何も知らない人がみれば
図面上をただ、一本の変哲無い線が引かれているだけに過ぎません。


現場がその図面の一本線に沿って、建ち上がるとき
実に様々なアウトラインのつながりだということが理解出来ます。


そのアウトラインの組み合わせが、バランスよく配置された時のみ
使いやすく、美しいカタチとなります。

カタチはシンプルに。なんてよく言われますけど、
大概が流行のデザインは貧弱なアウトライン要素のつながりになりがちです。


豊かなアウトラインの組み合わせの上に
なおかつ「シンプルなアウトライン」が感じられれば、
設計者と施工者のひそかなカタチがその現場には息づいているのではないでしょうか。



ゆあさ