大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

集落みたいな家

だいぶ前に紹介した家の工事が着々と進んでいます。

o-sumi.hatenablog.com

今は暑さも和らいでやっと秋の陽気というところですが、

紹介する写真の時期は初夏あたりです。

忙しくて更新できずにいたので、

追いつけ追い越せとブログ連投中です。

ああ、今年の夏は暑かったなあなんて思い出しながらご覧下さい。

 

初夏の晴れの日、棟上げが始まりました。

この家、棟が4つ、小さいものを含めて7つあるのですが、

クレーンの関係で、奥から1棟づつ順番に建て方を行っていきます。

 

1棟目は長い下屋がぐるっと回った1番気積が大きい棟です。

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右側にちらっと丸太の軒桁が見えています。

いつもの丸太は地松の曲がった力強いものですが、

この軒桁は、杉の磨丸太(樹皮だけを剥がした丸太)を使っています。

 

4つある棟はそれぞれ違ったコンセプトを設定しているんですが、

この棟は”数寄屋の棟”と位置付けています。

 

 

そもそも数寄屋とは

目に入る部分を華奢にする為に

見えないところでめちゃくちゃ頑張っている

そんな建物です。

 

なので裏方の天井で隠れてしまう部分にも

しっかりと頑張ってもらう必要があります。

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大工さんが跨っている丸太。

これ大工さんが小さいわけではなく、

丸太がでかいんです。

登り梁もきれいにくっついています。

 

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屋根仕舞が終わったら次の棟の建て方です。

 

 

次の棟は”民家の棟”と位置づけています。

何が違うん?と思われるかもしれませんが、

 丸太の架構や力の流れ、

隠さずに部材全部で空間を構成します。

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つまるところ構造がすべてデザインになるので、

丸太を3重に架けたり

これまたごっつい丸太の置棟を架けたり

いろいろさらけ出すなりの美しさを追求しています。

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追求しすぎて束が山積みになるったり、、、

大工さんに「飽きたわ!」と言われるほど拵えてもらいました。

全部で200個くらいあったらしいです。(やばい)

 

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この段階で差異はわかりにくいですが、

これから徐々に違いが明瞭になっていくはずです。

こんな凸凹コンビの間からは岡山市外が一望できます。

 

 

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そんな見晴らしの良い特等席の位置には第3の棟、”茶室棟”があります。

背高ノッポのこの棟は全体を見下ろせる位置にあり、

いろんなアイデアの詰まった大角オリジナルのカッコイイ茶室になります。

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カッコイイ天井をチラ見せ。

実はこの天井一つとっても非常に苦労しています。

乞うご期待ください!

 

 

最後に前々回のブログで紹介した杉型枠の高基礎の部分には

第4の棟、倉棟が建ちました。

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軒が短いどっしりした佇まいです。

 

 

いろんな棟が寄り合って構成されており、

まるで一つの集落のような建物です。

とんでもなく複雑で、1月かけて建て方をしました。

 

それでも大きなトラブルもなく、大工さんの腕には舌を巻きます。

 

おそらく完成したら迷子になる人続出ですね!

 

うえにし