昔話に出てくるような山の上の住宅を建て替えます。
ロケーションが最高です。
早朝には谷間に雲海が広がっていることもしばしばだそうです。
早起きは苦手なんですが、いつか激写したいです。
茅葺屋根の母屋は構造的にとても不安定で
泣く泣く解体をすることになりました。
建物の四隅にお酒と塩をまいてお祈りしていきます。
今までの感謝を込めて。
一度改修された形跡があるのですが、その時うちに話が来ていれば、、、
と、やきもきしてしまいます。
それでもせめて煤竹や古材を再利用できるように、丁寧に解体していきます。
瓦を外して、
鉄板を剥いで、
茅をとって、
やっと現れた丸太は日光を浴びて黒く光っていました。
瓦屋根は丸太を製材して角材にしたものを並べていき、
屋根の不陸を無くす必要があるのですが、
茅葺屋根の民家は多少の不陸は厚みのある茅が吸収してくれるので
実は瓦屋根ほどシビアではないのです。
なので、丸太のまま架構を組んでいたりするのですが、
この家はしっかりと手斧で製材した丸太を使っており、
丁寧に作られたことがよくわかります。
またどこかでこの丸太も活躍すればと思います。
民家という資源。
近年提唱されている住宅ストックという考えの他に
素材としての価値もたくさん詰まっています。
例えば囲炉裏に燻されて出来上がる煤竹は
何年も何年も燻され続けてやっとできるので、
現代では新たに生み出すことはできないんです。
建物の形がなくなっても
その家の何か一つでも
未来につないでいきたいなと思います。
うえにし