前回までのおさらい →なぜ古い家をこわさずなおすのかー前編ーへ
この太い柱・梁を最初に見たときは
「生き物みたいだ」
と思いました。
重々しい小屋裏の暗がりの闇のなかに
うねうねとうごめく丸太が、鈍く黒の光を反射していました。
最近の建築で、
人気の傾向は「薄く、軽く」といった感じがする建物です。
そういった流行とは無縁の、というより相対する
重厚な空間がこの現場では広がります。
一見すると古い建物は朽ちかけて傷んでいる箇所や
すすけた汚れ・きたなさばかり目につきます。
しかし、写真に撮ると良くわかるのですが
圧倒的な迫力というか、素材感の極みというべきか
とにかくスゴく心に訴えかける空気感をまとっています。
こういった空気感は現代の建物では簡単には得難い物です。
この違いは何故生まれるのでしょうか。
その秘密に迫るためのキーワードは
「時間」だと考えています。
その時間も2つの意味にわける事が出来ます。
1つ目は、建て主が家に与える時間。すなわち
「今後、何代先にも渡って使用出来るよう願って建てたこと。」
2つ目は、住まい手が生活した時間。すなわち
「使用されて、家が生き抜いてきた時間。」
注意深く見ないと分かりませんが
古民家にはこういった時間の爪痕が、
漂白されること無く、染み込んでいます。
次回は2つの「時間」のキーワードについて掘り下げます。
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ゆあさ