古い家を直しています。
あらかた出来てきました。
古い家には、佇まいに闇の美しさを感じます。
あっけらかんとした明るさとは対照的な
物静かで、秘した、
静かな美しさです。
そのほの暗い室内に
光を取り込む装置として、今回は
控えめな虫籠窓(むしこまど)と呼ばれる民家のデザインが
テーマに選ばれています。
虫かごに似ていて、小さな縦格子の漆喰意匠です。
古い家に光を取り入れるということは
当然、その光に照らし出され
浮かび上がるモノが存在するわけで
入り込む光は容赦なく
美しいものも、そうでないものも、
取り込まれた分だけ室内を明るく照らします。
すべてを明るくする必要は、全くないはずですが
「電気」という「明るくする道具」は私たちの生活すべてを
明るく照らし尽くしています。
逆に
「自然光」という「生活するための道具」は
古民家のしっとりとした土壁や漆喰、
油分のはった美しい木板
すすけて光と闇の海をうねうねと伸びていく丸太、
それらすべてと
呼応するように、呼吸を、脈拍をシンクロさせながら
生活にはいりこんでいくのだなと
古い家をなおす現場では、気付くことができます。
ゆあさ