大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

入り込む

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古い家を直しています。

 

あらかた出来てきました。

 

 

古い家には、佇まいに闇の美しさを感じます。

 

あっけらかんとした明るさとは対照的な

 

物静かで、秘した、

静かな美しさです。

 

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そのほの暗い室内に

 

光を取り込む装置として、今回は

控えめな虫籠窓(むしこまど)と呼ばれる民家のデザインが

テーマに選ばれています。

 

 

虫かごに似ていて、小さな縦格子の漆喰意匠です。

 

 

 

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古い家に光を取り入れるということは

当然、その光に照らし出され

浮かび上がるモノが存在するわけで

 

 

入り込む光は容赦なく

美しいものも、そうでないものも、

取り込まれた分だけ室内を明るく照らします。

 

 

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すべてを明るくする必要は、全くないはずですが

「電気」という「明るくする道具」は私たちの生活すべてを

明るく照らし尽くしています。

 

 

逆に

「自然光」という「生活するための道具」は

古民家のしっとりとした土壁や漆喰、

油分のはった美しい木板

すすけて光と闇の海をうねうねと伸びていく丸太、

 

 

それらすべてと

呼応するように、呼吸を、脈拍をシンクロさせながら

生活にはいりこんでいくのだなと

 

 

古い家をなおす現場では、気付くことができます。

 

 

 

ゆあさ