大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

ミチとケンチクその壱


岩手にいってきました。
今回出会った民家は細い畦道を抜けたその先に建っていました。

今後調査を行い、再利用出来るかどうかを判断し
適切に甦らせたいと考えています。


建築基準法では、敷地に通じる道路の巾が4m以上であり、かつ
その道路と敷地の設置距離が2m以上あることが建築するための最低条件となります。

ですから、新興住宅地等の造成宅地等はこれらのルールにのっとっているため
細い歩道巾のみのとりつき道路がある宅地の風景はめっきり見られなくなりました。
逆にいえば、そういった宅地にこそ古い民家は建っているわけですが、
現行法規では、家を壊して建て直すのも難しい不良不動産になりかねません。





古い家をなおすという建築行為は、これから先、どんどん必要になっていくと思います。
しかし、古い家に住みたいと思っている人達は、現行法規との擦り合わせが要求されます。

古い家を正しくなおす「技術」は、昔から職人さんの手から手へと受け継がれてきました。
しかしながら、それぞれの時代により経済、法律、環境と必要な知識が変化し続けており
だれもが正しい答えが何か分からず、情報の海に押し流され
経済の闇に呑み込まれ、環境の大地へ辿り着くこと無く、苦しんでいます。
古い家を正しくなおす「価値」をだれも説明出来ないのです。






建築を生業とする設計事務所は、道なき未知の世界へと切り開く必要があります。
古い建物を残す価値は何か?というシンプルな問いに、分かりやすいカタチに変えて
提案することが私達には可能です。
美しいカタチ無くして、「技術」をもった職人の心は開きません。
美が宿る家に変化していくのが分かる=「古い家をなおす価値を感じれる」からこそ
職人は惜しげも無く、力を発揮するわけです。


この路なき路に、
その昔だれかが住まいを結んだ冒険を想うと
不思議な勇気が湧いてきます。



ゆあさ