大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

はじまること。閉じること。

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再生工事が始まっています。

岡山県岡山市でのプロジェクト。

 

古い建物をなおすということは

いったいどういう意味を、施主のかたに与えることができるのかを

いつも考えているのですが

なかなか、目の前に広がる魅力的な民家の姿に見合うほどの

美しい言葉が見当たりません。

 

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工事が始まるということは

「一つの家の歴史の中で、この家での一つの歴史を閉じる」ことでもあります。

 

ですが、工事をする時に、屋根や、壁や、床を落とし

開かずの間や、真っ暗な小屋裏に光が差し込み

ぶち抜かれた風穴から吹き込む新鮮な空気に、大量の埃が舞い上がる様を見ていると

 

ゆっくりと、静かに眠っていた民家を揺り起こすような

そんな感覚に襲われます。

 

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そんなときに

「ああ。やっぱり、君は元気なんだね。」

と民家の生命力に、また、美しい魅力に気付かされます。

 

 

全ての方が、お持ちの家を治すことはかなわないとしても

せめて、建築に携わるものたちや

その家の最後に立ち会うものが、その事実をうけとめ

次なる世代へ「家」とは何かを伝えていけることができればと思います。

 

 

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一見すると埃っぽくて、

すすけて、簡素で。

 

でも、この家は、とびきりの民家として生まれ変わりつつあります。

 

 

ゆあさ