再生工事が始まっています。
古い建物をなおすということは
いったいどういう意味を、施主のかたに与えることができるのかを
いつも考えているのですが
なかなか、目の前に広がる魅力的な民家の姿に見合うほどの
美しい言葉が見当たりません。
工事が始まるということは
「一つの家の歴史の中で、この家での一つの歴史を閉じる」ことでもあります。
ですが、工事をする時に、屋根や、壁や、床を落とし
開かずの間や、真っ暗な小屋裏に光が差し込み
ぶち抜かれた風穴から吹き込む新鮮な空気に、大量の埃が舞い上がる様を見ていると
ゆっくりと、静かに眠っていた民家を揺り起こすような
そんな感覚に襲われます。
そんなときに
「ああ。やっぱり、君は元気なんだね。」
と民家の生命力に、また、美しい魅力に気付かされます。
全ての方が、お持ちの家を治すことはかなわないとしても
せめて、建築に携わるものたちや
その家の最後に立ち会うものが、その事実をうけとめ
次なる世代へ「家」とは何かを伝えていけることができればと思います。
一見すると埃っぽくて、
すすけて、簡素で。
でも、この家は、とびきりの民家として生まれ変わりつつあります。
ゆあさ