大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

木造の老人福祉施設


【四国で提案している無垢の木をつかった老人福祉施設

無垢の木を構造体につかった老人福祉施設って全国的にも、あまりありません。



法規的に難しいことが第一のネックで防火的に木はアウトなんですね。

だから木造で作っていると謳っている福祉施設は数あれど

木=集成材を「き」のいえ。とよんでお茶を濁しています。

一般の人は「木造」と聞くと、山で切って来た木をつかって製材した
無垢材をイメージしますが、建設業界との現実はすこしギャップがあります。

集成材ではなく無垢の木をつかっているといっても福祉施設のほとんどは

木部を壁の中に隠してしまった、木の「見えない」いえ。なんですね。

結構「木」、それも「無垢材」について真剣に考えている設計事務所って少ないです。



こういった施設を設計する場合、オーナーのかたは
何とかして、木の香りがするような、美しい建物を終の住処として提供したい
という思いをもたれている方に多くお会いします。

そういった思いに何とかして設計者として応えたい。
僅かでも木の要素を取り入れたいと考えて集成材なり、
木を隠して設計するという手法をとるならいいのですが、
日本にありふれている、福祉施設の現状は
作り手がつくりやすいからといった理由で採用されることが多いように感じます。
「作り手の合理性」が重視されて
「オーナーの意向」は二の次になり易いのです。


日本にもっと、こういう老人ホームなどの建物こそ
設計者が様々な制度に負けずに踏ん張っていけたら
すばらしいことではないでしょうか。


予算や法律はあって当たり前なんです。
でもその中で踏ん張ることでようやく辿り着ける価値があることを
多くのかたは経験的に同意されると思います。
もちろん予算による建築の規模や表現、機能的な制約は多々あります。
大切なのは予算以上の価値を設計者があたえ、施主に伝えることができているか?ということ。


そうでないなら
予算も法律もピタッと最初から合うように
だんだん基調路線の建築がふえてきてしまいます。
そういった、夢のあるハズだったプロジェクトが何故、しぼんでいくのでしょうか。

おそらくこういったコトだと思います。
工期・工費などが施主の方には想像出来ないので
不安がどんどん自分の最初の夢を押しつぶします。
専門科(と名乗る方)が施主の不安をあおることすらあります。
こんな案は法律上出来ないから、とか、幾ら予算があっても出来ないとか。
そんな不安しかうまない言葉が本当にプロの言葉でしょうか。



設計者は
「大丈夫。このルールのなかでの納得出来る着地点はここでは無いですか?」
とアテンド出来る走伴者たりえる存在だと思っています。



ゆあさ