大角設計室は、「民家」から学び、新しい時代の建築を思考しています。
故に、民家しか眼中にないのではないかと思われがちです。
言い方を変えると、時代錯誤で視野が狭いとでも言えましょう。
でも、
実際は 民家を通して見ると、世界の色々なものが
より鮮明に見えてきます。
例えば、風景。
田舎には働き手を失った田圃が数多く存在します。
そうした背景をもとに、後はその田圃の有効活用として
アパートや新興住宅地として転売されます。
写真のアパートも元々は田圃だったところに建てられています。
しかし、経済的*(と思われている)建て方で、ドンドン造られる
アパートは田舎の風景を浸食しつつあります。
もとの田圃の持ち主は、美しい風景をいままで守ってくれていたのに
作り手である建築界はそんなの「おかまい無し」です。
建築界でよく使うコトバ「安いごっつお」です。
想像してください。
簡易に造られた建物の20年30年後はどうなるのかを。
ポツンと田圃に佇む風景の将来を。
そんな将来に備えて、建築家が出来ることは何でしょうか。
それは
今から、そんな建物の改修の方法論を
創っておくことがあげられます。
建築家という職能にはそういった社会的な側面もあるかと思います。
大角設計室が、賃貸住宅の収入を確保しつつ
より発展性のある改修を行うことで、結果
田舎の美しい風景の創出にもつながる。
そうなればいいなと思います。
民家をみつめる眼をもつと言うコトは
時代を超えてものを考えていく訓練です。
民家を思うことは、人の営みを感じる訓練です。
民家のもつ物質性には、そういうモノが宿ります。
現在の工業製品には、なかなかそういった
人の心に訴えるものが、残念ながら見いだし辛い世の中です。
ゆあさ