大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

花火と建築

現在計画している若夫婦の為の計画。
打合せの為に橋を渡って、瀬戸内海の島へ。

施主の方の計らいで、
打合せ場所が、以前設計監理した住宅で夕闇迫る頃に行われました。
その日は丁度、因島の花火大会の日。




パッ!

っと明るくなって、しばらくしてズドォーンンんとすごいお腹に響く音。


噂には聞いていたけど、この家からは、花火が丁度真ん前に
花火があがります。
室内の電気を消して、みんなでワクワクしながら
ぼんやり夜空を眺めます。


いや〜。窓の大きさや景色を花火用には考えてないけれど
これほど見事にフレームに納まるとは。


勿論フレームアウトする花火も。








今、設計中の家が建つ場所からは花火を望むことが出来ません。

でもこの花火を一緒に住まい手と見ながら色々話をしたことで
家に対する率直な思いが聞けたように思っています。


花火と建築は似ているかもしれません。
花火を構成するものは2つ。「火」と「火薬」です。


設計者は家のすみずみに、技術と経験を尽くして
美しい風景の仕掛けを作っていきます。
でもそれだけでは、設計者の独りよがりの空間です。
そこに住まい手の熱が加わることで
家の中に隠された、適切に調合された空間が化学変化をおこし
ドーンっと思っていなかった色彩が広がるはずです。

住まい手と設計者が「火」と「火薬」。
どちらが欠けても成立しない。
そんな家になればいいなと思っています。




ゆあさ