大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

まちに焦がれて

前回までのおさらい
o-sumi.hatenablog.com

待ちこがれた風景に近づきます。
段々と歩みを進めると、すっかり町に馴染みはじめている
逞しさを感じます。

長かった工事が、少しずつ実を結びつつあります。



設計者の考える家は、
風景の中である意味異質な存在となりますが
こうして眺めてみると、不思議と周囲と調和しているようにも感じます。

その一軒が建つことで、向こう三軒両隣の家も
美しく感じられるような、そんな幸せな関係が築けるといいなと思っています。
他者を排除せずに、受け入れながら昇華していく。
町に焦がれて自然と立ち上がってくるものが、民家なのだと感じます。



内部も良い感じになっています。
この家は写真と実物がかなり印象が違います。
実物は写真では分かりにくい良さがあります。
とてもヒューマンな空間といいますか、
肌触りの良い服をふわっと羽織るような心地よさがあります。





帰りに以前竣工した浜松の店舗「旬蕎麦・うどん にはち」に寄り道。
ものすごく、いい建物になってました。

そのとき思ったのが建築が美しく育つ2つの要素についてです。
一つは「生まれの素性の良さ」。
二つは「育ちの良さ」。

一つ目は建築そのものの力ですから、設計者や施工者による所が大きい。
一方、二つ目は利用者、生活者、地域環境が「愛情」を注ぐ時間です。

その二つは相互に関係性があり、
設計者は施主の声と土地の声に耳を傾け、愛されやすい建築を創る必要があります。
でもそれだけではダメで、住まい手の「愛情」が不可欠です。



住まい手や、また地域に焦がれて出来ている建物との久し振りの再会は
何だかキラキラして見えました。
そういう景色を見るときが、設計者としてこの上ない幸せです。


ゆあさ

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