岡山での再生工事が今年は比較的多い大角設計室ですが
その中の一つ。メイン道路から少し外れたこの家も
ひっそりと、しかし晴れやかに工事がはじまっています。
工事始めは日の良き日を選んでいただき
子供達も清祓式に参加することが出来ました。
曾祖母。祖父母。両親。孫。
何代にも渡って譲り受けられることを選択された
幸せな住宅です。
工事期間中は、仮住まい暮らしをしていただきます。
寒かったり狭かったりで、不便をかけるとは思いますが
しばらく責任をもって、工事する側が預かります。
ひと気がなくなると、主を失ったように寂しそうです。
再生工事はとくにこのガランとした光景を見る度に
設計者である自分としては、やや神妙な気持ちになります。
ここで受け継がれた時間について想いを馳せる時間がさらにこれから深くなります。
再生工事において一番大切なことは
「何を残す」かを選択することです。
この解体前の瞬間こそが、過去ー現在−未来の分岐点です。
過去に於ける問題点を探りつつ、未来に向けて現在に残された遺産を
如何につなげていくか。
解体の指示をどれだけ的確に出せるかで
もう一度この現場についての自分の理解度を再確認します。
さぁ。ボヤボヤ出来ない時間に突入しました。
床下に隠れていた先人の仕事に現代の設計者と職人が挑みます。
ゆあさ