民家から学んだ多くのことの一つに
小屋裏の光があります。いや、正確には陰影と光でしょうか。
大学を受験する前、
デッサンの勉強を少しかじった時に初めて知ったのですが
「かげ」には二種類あるという事。
それは「陰」と「影」。
「陰」とは光の当たらない部分のこと。
「影」とは光が遮られる事によって出来る、物体の形を写したもの。
わかりにくいですね。
例をあげて考えてみましょう。
机の上に丸くて白いボールがあります。
ボールの左上から光を当てると
白いボールは明るく光を反射しますが、良く目をこらすと
光の当たってないボールの右斜め下側は暗く見えます。この部分が「陰」。
そしてテーブルにはボールの形が黒く写っています。この部分が「影」。
このことを理解すると、デッサンがテキメンに上達します。
物は光と陰影で空間を形作る訳です。
民家は平滑でなく、ほりの深いデザインです。
そこかしこに美しい陰影がうまれています。
民家の圧倒的な質感は、光と陰影への深い配慮によって
生みだされていると古民家から気づくハズです。
設計者は、現場を監理しながら時と共に変化する
移りゆく陰影の変化を確認しています。
ゆあさ