大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

漆黒の屋根

さて、能登に行ってきました。


日本三大瓦と呼ばれる物は
三河の「三州瓦」、淡路の「淡路瓦」、そして石見の「石州瓦」です。


幸いにもこの全ての地方で、それぞれの瓦を建築する機会に恵まれました。
建築と結びつくことによって、風土に育まれた美しさが、
心の奥底から沸き上がる感覚を経験できたのは
自分にとって大きな財産になっています。



しかしながら、日本は細く、長く、果てしなく微細な変化に富んだ国土です。
「三大瓦」とは呼ばれずとも、
各地方にキャラクター豊かな地元で愛されている瓦が存在します。
勿論地元、岡山にも。



この瓦は能登地方によく見られる
能登瓦」。漆黒の釉薬が特徴です。


この漆黒の正体は瓦に厚めにかけられた釉薬(うわぐすり)です。
この釉により、屋根に積もる水分の多い雪を
滑らせ、落としやすくする効果があります。

しかしながら、
日本海側の気候は限りなく曇天で灰色。その土地で、なぜ
敢えて「黒」だったのか?
想像をかりたてます。




対照的に
同じ日本海側にある石見地方では
「来待(キマチ)瓦」が華やかに彩ります。



能登半島の漆黒が生みだす風景が
私達の心に見せる風景を決定づけます。



そんな事を意識しはじめた頃から、
日本の民家達の屋根を見つめています。


たまに屋根シリーズ更新します。



ゆあさ