大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

ことほぐ



小雨の降りそうな生憎の空模様が多い中
雲の切れ間を縫って
粛々と作業はつづいています。


今日は一回目の棟上です。
大角設計室では分棟形式といって、主屋や離れなどが
別棟で配置されることが多く
今回は四棟あるうちの一番背の高い主屋の上棟を祝って
餅マキを施主の方にしていただきました。



「いっぱいなげるよぉ!」
と元気いっぱいのお子さん。

現在はこうした餅まきという風習が全国的に見られなくなりました。
何故なら、家を建てることは珍しいことではなく
昔よりも家を建てる意味そのものが薄れてしまっているせいかも知れません。
もしくはそうした風潮から、
単純に煩わしさを減らす、簡略化の為かもしれません。




餅まきは、本来は神への感謝を捧げる為に行ったり
御近所の方に、幸を配る為、もしくはふりかかる災厄を取払う為に行われたなど
意味合いは諸説あるようです。

しかしながら、個人的に思うことは
こうした簡略化されつつある式典の全ての意味は
「言祝ぐ(コトホグ)」という言葉に集約されると思います。

餅を撒く人。
受け取る人。

それぞれに、柔和な笑顔が見られます。
そして、自然と「おめでとう」と「ありがとう」の
祝福の言葉があふれています。




そしてもう一つのこの式の主役である職方「大工」。
棟上は、主要な構造体である柱や梁を一気に組上げる
大工工事の一番大きな見せ場です。
山から切出された自然木は、
丁寧に加工され、搬送され、墨付けをされ、手で刻まれ
この地に組上げられる。そんな大きな時間と関わった人々のバトンを大工は与っています。

組み上がった、木組の家が餅を撒かれる舞台となりました。
大勢の人に御披露目となり
少し、誇らしげで、重責を1つクリアした安堵の顔を見せます。

餅撒きという祝祭が
それら職人への最大の労いとなります。



大角設計室の家では、わりあい餅投げを行うことが多い気がします。

ふと思うことですが、ひょっとしたら餅撒きの風習が廃れた原因の1つに
設計者の力量が関わっているんじゃないでしょうか。



餅撒きの舞台となる上棟を終えたばかりの家。

その家があまりに、美しさを忘れた家だったら?
あまり祝祭的でなく、感謝を述べたくなる家でなければ?


そんな餅撒きしたい!と自然に思える
創る過程を、しっかり楽しめる家であるかどうかということは
設計者の力量におおいに関係あるかもしれません。



ただし
全ての家で餅を撒けれるわけではありません。
その行為は絶対的なものではありません。



しかしながら、全ての家と
家づくりに関わるすべての人は祝福に値するべきです。

言祝がれる「美しい木組のシルエット」が夕刻に浮びあがり
静かに闇にとけていきます。


そんな言祝ぐに相応しい設計を
大切にこころに留めておきたいと
「コーンコン」と調子良い掛矢の槌の音を聞きながら
改めて感じた一日となりました。



ゆあさ





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