大角設計室のブログでは何度か「窓」について
記事を書いたことがありますが、
今日は直接的に「まど」についての記事ではありません。
似て非なるものについて少し書いてみようと思います。
ブログタイトルにも書きましたが「フレーミング」です。
美術の世界ではフレーミングとは構図を決めたり
絵を描くキャンバスの大きさをきめたりすることを指します。
建築の世界ではもう少し多岐にわたった意味合いで使用されますが
今回は窓の配置によって、視線や動線を「意識的につなげる行為」と定義します。
窓の大きさや位置によって、室内の印象は大きく変わります。
それはなぜかというと
単純に、窓の在る無し大小で、明るかったり涼しかったりの
差が生じることが一点あげられます。
そのほかには、室内では窓や扉をくぐりぬけて人は動き回ります。
その為、窓や扉を開けた直後の行為をある程度イメージして
デザインすることで、人の視線や動線が、どのように作用するかを
コントロールすることが出来ます。
さっき「コントロールできます」なんて
啖呵をきっておきながら恐縮ですが
建築では窓や扉という単純なものの配置ですら簡単ではないのです。
なぜなら一枚目の写真と二枚目の写真は隣り合わせの部屋ですが
全然室内の雰囲気が違うと思います。
窓の周りに壁が取りついた印象の一枚目の写真に対し
壁が全くなく、天井までいっぱいの窓が開けられた二枚目の写真。
天井高さや、部屋の広さ、奥行き、素材感などがちがうため
それぞれの特徴をうまく調整しながら、より快適に、より適切に
より機能的に、でもって、さらに美しく感じれるようにすることが
建築のフレーミングになります。
明るい、暗い、風通しなどの理由で窓を検討される方は多いと思いますが
窓を配置するときに「その窓を意識的にどこかへつなげる行為」として
練りあげてデザインされている家を見ることが出来るとすれば
それはきっと、あなたの家は素敵な設計者がかかわっているのだと思います。
建築のフレーミングとは一筋縄にいかないものですが、
その果てしない努力と調整の先に、
時には「心を動かす」瞬間を建物に創り出すことが出来ます。
心理学では「フレーミング効果」という情報強調により
与える印象を変化させるという手法がありますが
設計者は、住まい手から預かるお金を
単純に「窓一つ」取り付ける、のではなくて、
その魅力を何倍にも増幅できるように
デザインに心を砕いています。
現場には段々、飛び切りのフレーミングされたシーンが
出来上がりつつあります。
ゆあさ