現場に行って楽しみにしていることは色々あるのですが、
中でも、工事現場で取り付けられた、窓から見える風景は格別です。
周囲の状況によっては、窓が取り付けれないケースもあります。
不透明なガラスにする必要や、そもそも窓がないというケースです。
そもそも「窓」とは住宅にとって、住まい手にとって、設計者にとって、
どういった意味を持つものでしょうか。
テレビコマーシャルではよく「住まいと暮らしを窓から考える会社♪~」などと
聞いたことがあると思いますが、
少し立ち止まって「自分の家の窓の役割を」考えてみると、
お住まいの家がグッと魅力的に感じることが出来ます。
そうです。
窓をもっと楽しみましょう。
例えばこの現場の階段横にある窓。
少し高い位置に連続して切られた横長のプロポーションをしています。
北側に設けられ、柔らかい光がゆっくりと室内を照らします。
すこし奥には、周辺の民家の瓦屋根の家並みが見える
長閑な雰囲気を楽しむことが出来ます。
反対に南面の窓はガラッと印象が違い、大開口がとられています。
そのままだと外から見えすぎる印象になるので、
心理的バリアーとして、下部に格子をつけて、抜け感とともにプライバシーも
確保しています。
さらに、左斜めは道路になっていて、視線が遠くまでス―――とのびて
室内の広さが、視線の抜けと相まって心地よいものになっています。
そんなこんなで
ほかにも色々な意味合いの窓が大角設計室の家にはあるのですが、
設計者は室内と室外を結ぶ窓の効果を高めるために、
実は「窓の取り付け方」も色々工夫がしてあります。
そういった工夫は気づかないかもしれませんが
工夫があるとないとでは、
空間の心地よさが全然違ってきます。
料理で言えば、最後の一塩といったところでしょうか。
そんな窓の先にあるものを豊かに室内につなげる塩梅が
設計の醍醐味であり、住まい手にとっては
家の味わいを感じ取れる場所になっています。
いつか別の機会に、
窓の取り付け方についてもブログを書いてみようと思います。
おたのしみに。
ゆあさ