大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

新築か改修か。交通整理。

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実測に行ってきました。

 

敷地内には、100年くらいは経っているであろう民家や

昭和の時代に改修されたであろう母屋

増築されたであろう離れ、

当時の姿をほとんどとどめている蔵などが

敷地に配置されていました。

 

かなり痛みの激しい個所や、

途中で改修された瓦屋根、

もう使われなくなった部屋、

これまでの家族構成と、これからの家族構成など、

この家の未来を考えるうえで

様々な検討の必要があるように見えます。

 

 

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新築か、再生か。

 

 

住まい手は、ずっとこの家の未来について

考えを巡らしてきたようでした。

 

 

でも、自分の下す決断にいつも

「これで、いいのだろうか?」と

なかなかはじめの一歩を踏み出せずにおられたそうです。

 

 

大手メーカーや、工務店に相談しても

基本的に帰ってくる返答は

「壊しましょう。そして新築したらいいのでは。」

という回答一択です。

 

 

 

 

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私たちが実際に家を拝見した感じでは

充分魅力的に改修できると思いましたが

それは「設計事務所」という特殊な立ち位置だからこそ

「改修できる」と発言できるのだと思います。

 

 

もちろん私達も難工事になるであろうことや

腐って全然使えない個所があることも理解しています。

 

 

工事をするメーカーや工務店では

テマヒマのかかる割に、

どう仕上がるかハッキリ想像しずらい工事は

お客さんとのイメージのズレなどリスクが伴います。

なかなか二の足を踏むのも実際の所だろうと思います。

 

 

住まい手は言われていました。

 

「今までのメーカーや工務店は、

どうしたいか言ってください。その通りやりますから」

 

 

そう言ってくれるのですが、

ほんとのところは

 

 

「どうしたらいいのかが、わからない」

 

という気持ち。を理解してほしい。

「だから、

もう少し具体的に思考を交通整理してくれるような

役割は、設計事務所にお願いするのがいいのではないか」

 

 

お話を聞いて、なるほどなと思いました。

 

私たちの創る

最初のプランは、最低限の要望は聞きますが

ある程度条件に縛られ過ぎないように

自由な計画案を作成します。

 

そうすることで、「タタキ台」として

今まで見えていなかった方向性を、住まい手からのリアクションで

ひきだせると考えています。

それを何度となく繰り返します。

 

 

そうした「設計のプロセス」が

家づくりのなかでは忘れがちですが、とても大切だと思っています。

 

 

 

ゆあさ