大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

「ちょうどいい」の選択

新しい建物が着工しました。

建物を建てるのに最初に行う工事

それが「杭」です。

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今回は小さな倉庫の新築工事で

いろいろ考えた結果木杭を使うことにしました。

さて木杭にどのような印象をお持ちですか、

中には初めて耳にした方もいるかもしれませんが

「木を土に埋めるなんてすぐ腐りそう」とか

「鉄の杭の方が硬そう」など

思われたりするかもしれません。

 

一方でこんな話があります

イタリアの水上都市ヴェネチアは「逆さまにすると森になる」と言われるほど木杭を多用しています

一度行ったことのある人はあんな石の塊みたいな建物が地下で木に支えられていることに驚くと思います。

しかし実際に木杭は1000年以上変わらずヴェネチアを支えています。

 

種明かしをすると「空気がなければ木は腐らない」ということなのです。

木を腐らせる細菌も生き物なので酸素がないと生きていけないのです。

(真空の方が増殖する細菌も居るそうですが、生命の神秘ですね)

耐力も計算をすると、杭1本あたり1トン以上の荷重を受けられることがわかりました。

 

そこで地盤調査をして地中の状況を調べ、

ロジカルに「ちょうど良い」工法を選択していきます。

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「どんな状況でも施工できます!」

みたいに便利なものはやっぱり割高で

「いつも通り」同じやり方をするのではなく

こうして引き出しを増やしていくことも設計の仕事をする上で大事ですね。

 

うえにし