大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

農家のデザイン

秋も着々と深まり、稲穂がだんだん頭を垂れはじめました。

先日現場に向かう途中に、印象的な風景に目を魅かれ
思わず車を止め、シャッターをきりました。




金色に輝く稲穂の海原に、リボンのようにすーっと、のびる一筋の朱。
最近あちこちで見かけるようになった彼岸花です。

日々デザインのことを考えて生活していますが、
案外、こんな単純な風景に心を一番揺さぶられるような気がします。
それは、デザインをするという行為が
観念的だったり、カッコつけだったり、
偽善的な思想に陥りやすい危険があるからかも知れません。


最近友人に、彼岸花は災害時の保存食のために植えられたものだとする学説があることを
聞いたのですが、(もちろんそのままでは有毒で、球根部分を解毒処理して食すようです)
この路肩に植えられた花は、おそらく田んぼの持ち主の、
美的なセンスで植えられているものと思います。




「エコデザイン」なる言葉を耳にしない日はないほど、最近は声高に叫ばれていますが、
この思想は本当に地球への愛から発生している言葉なのでしょうか?
人間のわがままや、暑さ寒さへの過度な快適性、便利さという
自己本位へ向けた愛ありきの、デザインに陥ってしまわないようにしたいものです。


路肩にただ、花を植える。
そんな当たり前に地球を美しくする方法を
そんな基本的なデザインの発想法を日々の仕事のなかでうっかり忘れがちです。
農家の、自然に対峙した方々の手がつくりあげるデザインは
僕に問いかけている気がします。



ゆあさ