大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

新築なのに昔から

古い家にいくと、応急処置的に家を補修している風景によく出会います。

写真の様な家は、一般的な美学からは遠いものですが
私個人としては、民家の表現として大変示唆に富んだ
未来のデザインのエッセンスだと感じています。


岡山では、左右バランスが悪い状態をあらわすことばとして

「カタチン」

なるものが、あります。建築現場ではよく使われる表現です。
まさにそんな建物であります。


写真の建物をよく見てみると、
左から:杉板貼り→真ん中:木目調トタン→右端:ネズミ色トタン貼りとなっています。
恐らく建設当初は杉板を前面に貼ったものの、
正面が傷んだため、傷んだ箇所を気をつかって、でも木を使うのは高いから
木目調のトタンを貼りました。
でも最終的には、木目調トタンが傷んでくるとなりふり構わず、
手短にあったトタンを応急処置として貼っています。


そんなストーリーが読み取れるデザインになっているんですね。
つまり、建っている建物に連綿と流れている時間が表現として現れているのです。


これを応用したのが、最近だと仙台の物件になります。
結構このテーマは、今まで古民家再生と言えば「新」「旧」の対比的デザインが基本でしたが
もう一つ、さらにさらにその先の民家のデザインが生まれる
可能性があるのではないか!と思っています。

新築なのに、すでにある程度時間が経ったようなデザインが施されています。

「何のこっちゃ?」
「言っていることが難しい」そんな声が聞こえそうですね。
そうだと思います。文章で説明するのは難しいですね。
写真をじーっと見て、考えずに感じていただけると嬉しいです。


その謎の紐解きはまたいずれ。




ゆあさ