複雑な現場です。
なにがって、形がです。
とはいえ何も突拍子もない形を作っているわけではなくて
敷地形状に無理なく沿わした形にしたために
平面形状(間取り)が四角形ではなく、微妙な角度が連続する建物となりました。
建物を90度や30度などはっきりした寸法でない場合
大工さんが建物を新築で、手刻みで作る場合は難易度があがります。
現場を想定して実物と同じ縮尺(1/1)で下書き線を描いていくのですが
これがとても大変。
PCで寸法を測りながら角度を睨む。
機械を使いながら悪戦苦闘。
かかわっている職人の技量を持ってすれば、
敷地に作業場を広げて、一箇所一箇所測りながら作れば
難易度はそれほどでもないのでしょうが、
現地で大きな音を立てたり出来ない昨今の事情や
工期の短縮などをしないといけない諸条件が
制約となって建てる工夫を生み出します。
昔の建物は、敷地に沿った形でいびつな形で建てられています。
手間暇をかけることは、家を作るという一大イベントに比べれば
たいした苦労じゃなかったということでしょうか。
プレカットと呼ばれる工場での加工なら
こんな角度はお手の物ですが、
負けず嫌いな職方衆は、大した時間もかけずに
この難問を乗り切っていました。
そして、せっせと機械ではまだ出来ない
丸太の加工に、もてる技術を注ぐのでした。
大工も新時代の技術と融合する機会を
設計者との仕事で得ながら
新しいチャレンジをすることで、その延長線上に
培った経験をいかんなく発揮できるデザインができるといいなと思っています。
ゆあさ