ある茶室の竣工写真の撮影で、
総社の勝福寺という山寺に行ってきました。
この勝福寺は真言系仏教宗派のひとつ御室派(おむろは)と呼ばれる宗派で、
住職様のご厚意で、
床の間に千利休の描かれた掛軸を設えていただきました。
茶室全体がグッと引き締まります。
丁寧に丁寧に人差し指をシャッターボタンに沈めます。
手前隅の設けられている地窓のような開口は、
躙口(にじりぐち)と呼ばれ、客用の出入口です。
なので、この茶室においては、
床の間の正面・躙口に接する畳が"客座"ということになります。
炉のある畳が"手前座"。茶席の亭主が座る畳です。
手前座脇の窓は、通風や採光のためだけでなく、
客座からの視覚的な効果を意図した窓でもあります。
夕刻には角度を持った光が炉を照らし、情緒的な雰囲気を誘います。
窓の景には、揺れる緑陰が薫ります。
竣工写真の撮影は一般的に建築写真の専門家が行うものですが、
僭越ながら、今回は所員である私が手を挙げました。
設計に携わる人間が写真という媒体に直接的に踏み入ることで、
設計における新たな着眼点を得られるのでないかと考えたからです。
申し遅れましたが、私は今年から大角設計室の所員となりました。
佐野といいます。
雑多な記事になりましたが、
今後とも何卒よろしくお願いします。
佐野