雪が降りました。
と言っても、うっすら数ミリほどですが
ようやく冬を感じます。
大気のチリを静かに地面に帰し
明るさはあるけども柔らかい透き通った朝日が
キリッと肌寒い空気に伸びてきます。
この時期は、一年の中でもとくに朝の光が綺麗です。
建築において「光」はとても重要です。
生活はたいてい室内の明るさを必要とします。
大きく分けて「自然光(太陽など)」と「人工光(照明など)」を室内に取り入れ
必要に応じた明るさを確保する必要があります。
明るさについて施主の人と話をしていると
「明るいほうがいいです」
というリクエストをいただきます。
設計者は単純に「明るさ」イコール「機能的に必要な明るさ」とだけ
捉えてはいけないでしょう。
先ほどの施主の方は
「なんだか明るいほうが、気持ちが明るくなるような気がするので」
とも、付け加えられました。
だとすれば、「室内の明るさ」は生活上、
食事をしたり執務をしたり、テレビを見たり、
お風呂に入ったりする「機能的に動く為の明るさ」のみならず
それと同じように大切な「心理的な明るさ」が存在するのではないでしょうか。
設計者が留意すべきは「機能的に必要な光」はもちろんですが
施主の人が思い至らないかもしれない
「機能性を超えた光のありよう」をとらえていきたいと思います。
そんなことを、薄雪が偶然創った
灯篭の日時計を眺めながら考えました。
影の長針、残り雪の短針。
この僅かな瞬間にしか生まれない「機能を超えた光のかたち」が
私たちの生活を快適以上の価値へ連れて行ってくれるのではないでしょうか。
ゆあさ