2帖という最小限の空間「茶室」を作っています。
茶室は少し特殊な建築なので専門の京都の大工さんにお願いしています。
着々と加工は進み、コロナが収束したタイミングを見計らい、
仮組みしたものを見に行きました。
倉庫内で全部建ち上がってしまうほど非常に小さな建物ですが
待庵という国宝の茶室の写しということもあって、
小さくても手数はめちゃくちゃ多いです。
茶室はいわゆる「侘び寂び」という粗相な物を美しいと感じたり
主人が客人よりへり下る超おもてなし空間です。
そんな空間を材料や設えでとことん作りこんでいきます。
例えば庇は垂木が竹だったりするんですが
詫びた表現をするためにちょびっと芽がでた竹をわざわざ使って
「ありふれたものですよ」って顔を作ります。
でもこの芽のおかげでこの上に乗ってくる屋根葺き材が
凸凹しちゃってめちゃ大変なんです。
普通の角垂木も普通にはいきません。(矛盾)
桁が丸太なので高さ調整や材料の色や木目が滑らかに変化するように
垂木1本1本木取りをして位置が決まっています。
また角を落とす面取りは45度ではなく、その辺の1/10の長さというように比率が決まっていて
シャープに見えるようになっています。
これはとある柱ですが
もはやトーテムポールよろしく四方から貫が突き刺さっています。
これよく見ると左側から取り付いている材は芯がずれていることがわかります。
片側からは戸が引き込む時に邪魔にならないようになど
空間の要請にしたがって自由自在に柱をずらしちゃいます。
茶室の心臓、床周りは以外とあっさりとしています。
床框は大きな節のあるサビ丸太で粗相な感じですが
床柱も落とし掛けもいたってシンプル。
と、見せかけて色々な仕掛けがちりばめてあります。
茶の心からするとこんな説明は野暮ってことも十分理解してますが
大工さんのスーパーテクを目の当たりにすると
「どうです凄いでしょ!」って自慢せずにはいられませんね。
この家にはもう1棟茶室があるので
その仮組みはまたお届けします。
うえにし