ちいさくて、ちょっと細長い家が、仙台市に出来ています。
建物のまわりは、個人住宅が建ち並んでいます。
唯一の空き地だった北側の敷地も、大規模な住宅地となるための
造成工事が進んでいました。
あと2.3ヶ月すれば、ピカピカのハウスメーカーの住宅が立ち並ぶ
風景に一変すると思います。
それを見越して、建物をあえてコンパクトにして
敷地に広めの庭が設定されています。
住宅地に埋没するような配置となるこのちいさな家は
あえて敷地いっぱいではなく、コンパクトに建てることで
しっかりと外部に対して開放的な住まい方をすることが可能になっています。
内部のインテリア・空間も
ごくごくシンプルです。大角設計ではこれを「好い加減」と呼びます。
華美ではないが、しずやかに美しく。
ほどほどに広くはないが、しっかりとのびやかな広がりがある暮らし。
機能も過剰ではなく、過不足なくシンプルに。
キッチン。浴室。洗面。トイレ。水廻りは
将来的にメンテナンス・買い替え時期が必ず来ます。
で、あるならば、ほどほどの物に設定し、一点集中(食洗器など)でお金を掛ける。
そんな判断を住まい手はされました。
機能性も大事にしていますが、機能+アルファの良さもこの家にはデザインされいています。
例えばこの家は、自分の家の窓から庭を通して、またその奥に自分の家が見えます。
そうすることで、庭と部屋の中が、「内と外」と区切られることなく
空間に広がりが生まれます。
何より、向こうの風景が単純に面白くもなります。
この小さな家は
「こうじゃなきゃ、住めない」と思っている固定概念をときほぐし
「こういうシンプルな暮らしも、悪くない。むしろ楽しいな。」
と住まい手の思考をいいかげんに調整してくれる家になっています。
ゆあさ