大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

あずましい家


仙台の若夫婦のための住宅が完成し、ようやく引渡です。

ちょっとだけ植栽することが出来、仙台中心部とは思えない

ゆったりとした外部空間となっています。

 

 

 

ちいさなお子さんがいらっしゃるので、

縁側にのんびり座りながら、どんな会話がこの先あるんだろうなと

しみじみ思いに耽っていました。

 

初めてお会いした時は

まだお子さんがいらっしゃらなくて、

計画を私たちにご依頼いただいてから

赤ちゃんを抱えながら、ファミレスで打ち合わせをしたり

コロナが流行ってzoomで打ち合わせをしたりと

月日が流れるのは早いナァと。

 

 

 

引渡の日に、ご主人さんがわたしのところにちかづいてきて

こうおっしゃってくださいました。

 

 

 

「ゆあささん、僕はこの家をみてずっと思っていたことがあるんです。

僕の故郷(青森)には「あずましい」って言葉があるんですけど

まさに、その表現がぴったりなんです。」

 

 

「へぇー。そんなこと考えてたんだ」とは奥さん。

 

 

「「あずましい」って、言葉に表現するのは難しいんだけど

なんだか、しみじみ、というか、じんわりと、

何とも言えない心地よさの状態をさす言葉なんです。

 

だから、いつか言おうと思っていたんです。

 

「あずますぃ家すわぁ」って。

 

初めて、ようやく言えました。」

 

そう言って、やや低く渋めの朗らかな声で、笑ってくれました。

 

 

 

 

その言葉になんだかとってもジーンと

こっちがあずましくなっちゃって。

 

そうなんですよね、ブログでは、どうしても

建物について理解してもらうために、

即物的に「わかりやすく」「言葉に変換しやすい」ところをご紹介していますが

本当はその先に「見えずとも、感じれる」良さを目指しています。

 

 

 

じゃあ、あずましい家って、どうやって創るのかって言ったら

やっぱり細かいところの「当たり前のレベルの高さ」の積み木を

一個一個丁寧に、愚直に、あきれるほ地味にやるしか方法はないんですよね。

 

 

「ウッディー」とか「和モダン」とか「古民家風」とか

言葉で見えるように建物を装飾することは簡単ですが

言葉でまやかすデザインは、結構がっかりするものが多いですよね。

 

 

 

 

 

ちいさなものが積み重なって美しくものを創る。

そう、それはさながら「いち福」のお団子のようですね。

 

 

あずましい家を、これからも東北で創っていきたいと

強く思っています。

 

 

 

ゆあさ