大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

元からあるその土地土地の美しさを学んで

 

5月ですね。

中国地方ではだんだんと田植えシーズン本番となり

農家の方々が、四季と風景を美しく彩ってくれています。

 

この時期にぼくは車で運転しながら現場に向かうのがとても好きです。

 

田んぼから「水田」にかわるこの瞬間が

とんでもなく美しい国に生まれてしまったな、といつも思います。

 

 

春の柔らかな日差しと、霞んだ雲、新緑の山並み、

ゆっくり動くトラクター、人々の長年の営みを感じる赤瓦の民家などの要素を

極上の水盤が一つにぎゅううっと凝縮しながら

たゆたう爽やかな春風が静かにかき消しては描いてを繰り返しています。

 

 

 

中国地方には山陰地方に近づくにつれて、

ある一帯が急に屋根が赤色の瓦で埋め尽くされた地域が出現します。

 

ぼくは個人的にこの赤色が好きで、中国地方の原風景として

将来的にもっと評価される日がくるのを願ってやみません。

 

とはいえ、この写真を見ても田舎生まれ田舎育ちの人にとっては

当たり前すぎて、「何とも思わない」日常風景です。

設計事務所がそこに注目し、過去の美しさから学び、

次世代へバトンをつなぎたいと思える設計ができるかどうかは

なかなかにやりがいのある仕事です。

 

 

現在ちいさなちいさなプロジェクトが、

だんだんと輝きを増してきました。

 

実測に来たときは、床は落ち、屋根は漏り、壁はかたむき

内部に入るのも躊躇われるような空間でしたが

「ああ、こんなにも君は美しかったんだね」と惚れ直すような

もともとの美しさが際立ってきました。

古い建物の再生工事は、この「もともとの美しさ」に

気付けるかどうかがとても大切だと思っています。

 

 

 

この建物が、あまりにも当たり前に

美しく地域に溶け込む日を心待ちにして現場を後にしました。

 

頑張っていきます。

 

 

 

ゆあさ

 

 

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