大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

基礎的な話

前回までのおさらい
o-sumi.hatenablog.com


基礎工事は建築のスタート地点です。

平らな敷地にコンクリートを流し込む型枠を組んで
ふにゃふにゃのコンクリートの心棒となる鉄筋を組上げます。
一般的には住宅基礎工事は二回くらいコンクリートを打設すれば終了です。

でもこの現場は四回ほどコンクリートを打ちます。
手間が倍かかります。

何故でしょうか?

それは、敷地に高低差があるからです。
敷地の形にあわせて、段々高さを変えながらコンクリートを打つからです。
そうするほうが、土地の持っている個性を活かせることが出来ますし
トータル金額的にもほとんど変わりません。



ですが、不思議なことに日本中で行われている住宅基礎工事は
一律ほぼ同じ形状・同じ方式で執り行われます。

一般的には敷地に高低差がある場合はどうするのでしょうか。

どうするかというと
無理矢理敷地をたいらにする為に擁壁をたてて土を盛ります。
そうする方が、設計者も工事業者も「簡単」なんですよね。
住宅地にいくとよく雛壇造成などという言葉があったりします。
そうして出来た景観はどこか味気ないものがおおいのはしかたないことですよね。

でも土を盛ったり擁壁をつくったりする金額が上乗せされますから
結局敷地形状に合わせてコンクリートを数回にわけて打つ金額とかわらないのです。
もしだとすると、それは作り手にも住まい手にも双方にとって
不幸なことではないでしょうか。



もちろん優秀な設計者は経済性も考慮して悪戯に手間をかけたりすることは
ないように注意が必要です。
ですが多くの設計者が基礎工事次第で豊かな空間になる可能性に
目を向けていないように感じます。

人間がオーダーメイドの服をつくるとします。
それぞれのからだの凹凸に合わせて服をつくるのは難しいから
一定の形にととのえるために、ぺたぺたと下地をくっつけます。
そうすれば服は安く出来ます。簡単に出来ます。ってなんかピンとこない話が
家づくりではまかりとおっているんですよね。



ゆあさ


このブログ記事のつづき
o-sumi.hatenablog.com