大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

本当のエコを考えると

じわじわ年末に向けて再生工事が始まろうとしています。
工事始めの日程を、機運を逸さぬように決められた日に執り行いました。

新築工事の場合は、工事はじめには、基礎工事のために土木工事が最初に
行われるわけですが、今回は古い家をなおす再生工事のため、勝手が少し違います。
古い家をなおす場合、工事始めは「解体工事」です。



「えーいい。」どんっ。。
思い切って壁にバールを叩き付けると
先ず白い漆喰壁がバリバリと剥がれ落ちます。

「もーいっちょ。」どんっ。。
次にメリメリと、土壁にバールがめり込みます。
力に任せて槌を動かすと、ボロリと
大きく壁が崩れました。

剥がれ落ちた土の塊には、ぱらぱらの土ぼこりと
ちいさくちぎった藁スサが入っています。

壊した壁には、骨組みである竹が編み込まれています。

この作業は主に、施主の息子さんが担当です。
次男くんは壊すのが、楽しくってしようがない!といった感じで
最初恐々振るっていたハンマーを、ブンブンぐりぐり。


「ストップ!ストップです〓!」と
あわてて止めないと、家が倒れかねない勢いでした。

それを横目に冷静なお兄ちゃんは、何処かに行ってしまい
帰ってきたと思ったら、片手にホウキを握りしめて
ハッスル弟の出すツチボコリを
ササーっと掃き集めてくれました。
ナイスコンビネーション。



仕上げはおじいちゃんです。
お兄ちゃんが集めたちり取りをひょいと片手に
ツカツカ田んぼに向かって歩きます。

それをなにごともないように、クルリと手を返すと
田んぼに、解体された廃棄物が撒かれました。
土から生まれた建築が、静かに、それも当たり前に
大地に還る瞬間でした。


少し話はそれますが、もう少しすると住宅の省エネ法なるものが出来ます。
基本的な、考え方は室内の温熱環境を整えるために
断熱性、気密性を確保することで、冷暖房エネルギーを
省エネ出きるようにしましょう。と言う話です。

でもこの法律には大切な視点が抜け落ちていないでしょうか?

家をつくると言うこと。
家をこわすと言うことは、イコールであるべきです。

人間が快適に暮らすためだけの「省エネ」の達成には
多くの新建材が必用です。
地球上のものを使って家を建てることは、
地球上のエネルギーを搾取することです。

いつかは地球に還元しないといけません。
大地に還すことの難しい家は、
田んぼの肥やしとして腐らない家は、
本当の意味合いで、エネルギーを考えて、
次世代の為にふさわしいのでしょうか。


裏山の竹と土や、田んぼのわら。田んぼ土から焼かれた瓦。
大地から民家は生まれたのですから、役目を終えてふたたび土へと還る。

そんな当たり前にしていた、大切なことを、施主さんから教えてもらった気がします。

ゆあさ