大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

土に眠るもの

土壁をつける機会が多いのですが、
土には何やら、未だによくわからない魅力が潜んでいる気がします。


結論から言いますと土には「時間が眠っている」のではないか。
そんな気がなんとなくしています。


新築工事の現場なのに、経年した懐かしさや
温かみを感じる時があります。
そんな家の多くは土を塗ってあるケースが多いように思います。
以前漆喰壁についても同じような事を考えていたのですが■→過去掲載ブログ2014/3/17壁以上の何かへ



整理して考えてみると、塗り壁に使われる素材から感じ取れるものは
時間のように目にはみえないのだけれど
結構大事にしていきたい「何か」だなぁと最近特に思います。


現場では、手際よく土のバトンリレーが行われ
鏝が土を切る、ザッ、、ズ、ズ、スー、ズゴッ。。軽快な音が響きます。
この音を聞く度に「あぁ、家をつくっているなぁ。」
という当たり前の実感が、何とも言えない御馳走に変わります。


土壁の下地となる竹の骨組みも現在製造する会社が激減していますし、
実は、土壁の為の土も製造する会社が激減しています。

壁に使う土はなんでも良いって訳ではありません。
土を取ってきて、塗ってみるまで大丈夫かは分からないそうなので
経験が物を言う分野の仕事です。



土壁を壁に塗るときは、下塗り、中塗り、上塗りと
水や砂、藁スサなどのバランスが違います。
そのため一応実際に触ってみて、
粘り気やザラつき、水気等を確認します。

何よりこの作業は家とつながっている感じがして
個人的に好きです。

コンクリートも同じように確認します。
建築は数見て触れですからね。



最近備前焼作家の伊勢崎晃一郎さんとお話をしたことが今日のブログのきっかけです。
階段のような造形の作品を展示されていたので
「動きがあっていいですね。時間を感じることができる」
と感想をのべたときに仰られていたことが印象的で

「そもそも備前焼は、時間を経た土を使うわけだから
もともと時間が作品には詰まっている」

なるほど。と思いました。
同じ事を感じている人がいるのだなと嬉しくなりました。

民家から感じられる時間のイメージ。
その大切な事を土は教えてくれているのかもしれません。


ゆあさ