これまでのブログ記事おさらい
さあいよいよクライマックスです。
工場が完成し、動き出しています。
コロナの影響を大きく受けながらも
建設の打ち合わせに関わってくれた若い工場のスタッフの方々は
大きな不安と同時に、
「ようし、やったるで!」と
この新工場の中で勇ましく奮闘してくれています。
完成した瞬間から機械が設置され始めて
ちょっと焦りました。
設計の仕事の大切な側面は一体何なのでしょうか。
機能的に建物を満足させることですか?
答えはイエス。
金額的に建物を適正につくることですか?
答えはイエス。
工事を適正に監理することですか?
答えは、こちらもイエスです。
でもですね、さらに掘り下げて
他に何か設計者だからこそ、できることは、ないのでしょうか?
先日コロナが流行する直前に竣工した
店舗の施主に言われたのですが
「あの時に完成してよかったです。
大変ですが、今、しっかり使わせてもらってますよ。」
と言葉をいただきました。
そうなんですね。
設計者の大切な仕事は
完成した建物を「建主がしっかり好きになる」ように
一緒に創ることなのではないでしょうか。
気に入ってくれているから、こんな状況でも歯を食いしばって
建物をフル活用する術を考えてくれています。
すべてが、思い通りにはいかないかもしれませんし、
好みと多少違うこともあると思います。
ですが、設計者と一緒に話し合って最終的に出来たものが
「いいなぁ。嬉しいな。大切に使っていきたいな。」と
感じられるような、大らかな建物になっているかが、
とても大切なのだと感じています。
そのためには、実は設計者はある工夫をしています。
その工夫とは
「美しさが機能の傍にあるように」デザインすることです。
人間とは何とわがままで、機能的合理性だけでは
なかなか満足しきれないんですね。
「なんだかこの建物、愛せるナァ」と思えるのだとすれば
それはきっとデザインが隠されています。
建物は、こんな状況下でも、いや、
もとよりいつだって、人々を励まし、癒し、勇気づけていける
特別なものなんだと気づかされる毎日です。
ゆあさ