大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

つちぬりぬり

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o-sumi.hatenablog.com

毎年のことながら年の瀬はバタバタします。

そんな中でもこの前棟上げをした家が着々と工事が進んでいます。

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棟上げの時の写真ですが、大工さん上空5Mで談笑しています。

余裕やなぁ笑

百戦錬磨の佇まいですね

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そして今回は土壁なので、竹小舞を編み編みしています。

現代ではほとんど見られなくなった土壁ですが、

これ、以外と経済的なんです。

構造がそのまま化粧になるので仕上げの材料費がいらないんです。

また、外壁周りは防火の法的な基準を満たす必要があるので、不燃ボードなんかを

貼ったりしないといけないのが、土壁は燃えないので不要になったり、

 

はたまた機能も結構すごくて

有名なのは調湿とかですが、

構造として柔らかいので、ポッキリ壊れることが少なく、

じわりじわりと耐える、変形はするけど倒壊はしない…みたいな構造なんです。

それって弱そうに聞こえますが、「柔よく剛を制す」ように

しなやかにエネルギーを逃してくれます。

 

そしてさっき書いたように構造=化粧なので

建物の痛みを正直に表に現してくれます。

つまり割れなどを修繕をしたら、構造的にも修繕されちゃうというお得な仕様。

綺麗さが構造のバロメーターって、住み手にとってもわかりやすいですよね。

 

100年や200年前の建物はほとんど土壁ですし、

材料の長寿命は歴史が証明しています。

 

うちのように百年後もへっちゃらで使えるような建物を考えると

率先して使っていきたい材料なんですよね。

 

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西日が差した小舞はぞくりとするほど美しいです。

一見規則正しい格子状ですが、

よく見ると生物材料ならではの起伏や個体差が

格子にノイズを与えています。

そんなゆらぎが人間と自然の

ちょうど真ん中のような佇まいを醸しています。

土で隠れちゃうのがもったいない!

 

茶の湯の完成者「千利休」もそんなことを思ったのでしょう。

小舞を残して土を塗る窓を考案しています。

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別の現場の写真ですが下地窓と言います。

ノイズを整理し、なんとも洗練された印象です。

草庵茶室には欠かせません。

 

多少脱線しましたが

ノスタルジーな視点で語られがちな土壁ですが

もっと戦略的な視座で語られることが増えればいいなと思います。

 

うえにし